日本では古来から家といえば、木の家、木造住宅でした。森林資源が豊富であることに加え、四季の豊かな日本の風土に合っていたのでしょう。今回は、そんな木造住宅の魅力、そして他の構造と比べた場合のメリット・デメリットについて解説します。
住宅には、大きく3つの構造があります。一つは、ここで紹介する木造住宅。その他、鉄筋コンクリート住宅(RC構造)、鉄筋鉄骨コンクリート住宅(SRC構造)があります。
国土交通省の資料によると、戸建住宅では、新築着工の80~90%、既存住宅では90%以上が木造住宅(平成20年 国土交通省「住宅着工統計」、総務省「住宅・土地統計調査」)。日本の戸建住宅のほとんどは、木造住宅といえます。
さらに細かく見ると、木造住宅は工法により、木造軸組工法、2×4(ツーバイフォー)工法、丸田組工法(校倉造、ログハウス)などに分かれます。それぞれの工法については、別の機会にお話しますね。
それでは、まずは木造住宅の魅力、メリットから。主に費用、機能性、自由度の面でメリットがあります。
木造住宅は、鉄筋住宅(RC構造、SRC構造)に比べ、建築費用が安い傾向にあります。材料費が安く済むことに加え、鉄筋住宅はそのままでは断熱性や吸湿性に劣るため、相応の材料(断熱材など)や工事が必要になります。そのため、木造住宅の方が相対的に建築費用は安くなります。
使用する木材によっては当然高くなりますが、一般的には鉄筋住宅に比べ坪単価で10~30万円程度費用を抑えられるといわれています。
木造住宅でも特に木造軸組工法の特長にもなりますが、間取りなど空間設計の自由度が高いのも大きなメリットです。新築時だけでなく、リフォーム・リノベーションを行う際も、木造住宅の方が高い自由度で増改築することができます。
また、鉄骨住宅に比べ施工できる工務店は圧倒的に多いので、建築会社・工務店の選択という意味でも自由度が高いといえます。
木は鉄やコンクリートに比べ熱伝導率が低く断熱性が高い素材です。最近は断熱材の発展もあり鉄筋住宅でも「夏は暑く冬は寒い」という住宅は少なくなりましたが、断熱性能を高めるための処置が必要なため、コストは上乗せされます。
木は吸湿性も高く、屋内の快適性はもとより、ダニやカビの予防にも繋がります。
上でお伝えしたように、木造住宅は健康的にもメリットがあります。鉄骨住宅では壁紙やカーペットは必須ですが、それには化学物質やホコリによる健康上の不安(シックハウスやアレルギーなど)も伴います。対して木造住宅は壁紙やカーペットを必要としないため、それらの心配がありません。
また、個人差も大きいのですが、木造住宅は日本人に馴染みが深く、精神的に落ち着く空間でもあります。毎日を過ごす場所ですので、この点も大きなメリットといえるでしょう。
続いて、木造住宅の不安な点、デメリットをお伝えします。
鉄筋住宅に比べ、木造住宅は耐震性に劣るといわれています。確かに、木と鉄では、鉄の方が丈夫だといえるでしょう。
ただ、木は鉄に比べ軽量であることに加え、地震大国日本で発展したきた工法なので、相応の耐震性を備えているといえます。
耐久性についても、鉄骨住宅に劣るという意見が主流です。風雨による劣化やシロアリ被害も、鉄骨に比べ受けやすいです。
ただ、日本で実績のある建築物は木造住宅です。鉄筋住宅の歴史が浅いという理由もありますが、現実として築年数100年以上の木造住宅も決して少なくありません。きちんとした木材を使って、きちんとした工事を行えば、木造住宅でも十分に長持ちするといえるでしょう。
木造住宅は施工できる工務店、建築会社が多く、選択の自由度が高い反面、工事の品質にもばらつきがあります。上に挙げた不安・デメリットも、高い技術と倫理観を持つ工務店、建築業者であればかなり払拭できますが、経験の浅い職人、雑な工事を行う建築会社にあたると不安は増大します。
工務店、建築会社を選ぶ際には特に慎重になりましょう。
メリット、デメリット双方ありますが、木造住宅はとても魅力的だと思います(私も木造住宅を建てるつもりです)。木の温もりは、日本人にとって、きっと落ち着き、安らぎを与えてくれるはず。自由度の高い家を造りたい、日本的な家に住みたい方は、ぜひ木造住宅を選んでくださいね!