LDKとキッチンだけにとどまらず、 暮らしの心理を設計するということ・環境心理学から読み解く、心が静かに整う住まいの本質

やまぐち建築設計室

著者:やまぐち建築設計室(建築家・設計事務所/奈良県)
2026-01-08更新
LDKとキッチンだけにとどまらず、 暮らしの心理を設計するということ・環境心理学から読み解く、心が静かに整う住まいの本質
LDKとキッチンの環境を

整えるということ。

環境心理学から考える、

豊かな暮らしの中心設計・・・。



中庭と大開口ガラスに面した和モダン住宅のLDK空間。建築家が設計したシンプルモダンでホテルライクなアイランドキッチンとダイニング。木目天井と間接照明が視線と感情を整え、30代パワーカップルの暮らしに静かな上質さをもたらす高級住宅の実例。

※光・素材・余白で整える、

ホテルライクな和モダンLDK。
住まい手さんの価値観と暮らしの本質から

忙しい日常を静かにほどく空間設計事例。





家づくりのご相談を受けていると、

いろいろな言葉を聞きます。



・LDKは広ければいいと思っていました

・キッチンは性能や設備が

大事だと考えていました
・SNSで見た正解の家に

近づけたいんです



どれも自然な感情です。



情報が溢れ、

選択肢が多いほど、

人は「確実な答え」にすがりたくなる。



けれど設計の現場で、

はっきりと

言えることがあります。



住まいの満足度は、

設備の点数では決まりません。



もっと

深い部分で決まっていきます。



例えば・・・・・・。

家に入った瞬間の呼吸の浅さ。
キッチンに立ったときの肩の力。
リビングで座ったときの

目線の落ち着き。
家族の会話が増えるか、減るか。
片づけが続くか、崩れるか。



こうした「目に見えない反応」は、

偶然ではありません。



人の心と行動は、

意識と環境によって

驚くほど左右される。



これは環境心理学や

行動科学の領域で

繰り返し語られてきた事実です。



だからこそ、

LDKとキッチンも「間取り」より先に、

環境として

整える必要があります。



なぜLDKが整わないと、

暮らしが荒れるのか?



LDKは、

家族の生活が最も濃く

交差する場所です。



同時に、

最も「刺激」が集まりやすい

場所でもあります。



・物の出入り

郵便物、バッグ、買い物袋、

子どもの荷物など



・音の出入り

テレビ、会話、換気扇、

食洗機、外の音など



・光の変化

昼夜、照明の種類、窓の向きなど



・匂いの広がり

料理、ゴミ、洗剤、ペットなど



・視線の交差

家族、来客、作業、

片付けの散らかり具合など



これらが一つの空間に集中すると、

脳は無意識に疲れます。



心理学では、

人は処理すべき情報量が増えるほど、

判断力と自己制御が

落ちると言われます。



いわゆる「意思決定疲れ」に

近い現象です。



つまり、

LDKが情報過多になるほど、
「片づける気力」や

「優しく話す余裕」が削られていく。



だから、

こういう状態が

起きやすいのです。



・帰宅後すぐにソファに倒れ込む

・物が出っぱなしでも見ないふりをする

・夕方以降、家族の会話が減る

・些細なことでイライラする

・休日に回復ではなく消耗する



ここで重要なのは、

これが性格だけの

問題ではないということ。



暮らしが荒れるのは、

だらしないだけ

ではありません。



環境が、

そうさせている

可能性も高いということ。



皆さんも思い当たる事は

ありませんか?



居場所の環境や状態によって

気分や思いに

変化が生じるような経験。



そういった事が

実際に起こっているということ。

住まい造りの際にも・・・・・。



暮らしのコーディネート

とは何か?

インテリアの話では

終わらせないように。



ここでいう

暮らしのコーディネートとは、
単に家具や色を

揃える話ではありません。



暮らしの

コーディネートとは

行動が自然に整う環境をつくること。



環境心理学の視点では、

人は「意志」で変わるより、「

仕組み」で変わります。



ダイエットも、勉強も、

片づけも、

環境設計の勝負。



たとえばLDK。

・どこに座ると落ち着くのか

・どこに視線が抜けると安心するのか

・どこに仮置きがあると

散らからないのか

・どこにゴミ箱があると

ストレスが消えるのか

・どこに照明があると

夜が穏やかになるのか



これらはすべて、

暮らしのコーディネートです。



暮らしは、忙しい。
時間の余裕が少ない分、

家は「回復の場」である

必要があります。



その回復を生むのは、

豪華さではなく

整った環境・・・・・。



キッチンは「作業場」ではなく

「感情が露出する場所」



キッチンに立つ時間は、

家庭によっては

一日1〜3時間にもなります。



つまり、

ここは「人生の時間」が

流れている場所です。



環境心理学的に見ると、

キッチンは次の理由で、

感情の影響を受けやすい点に

注意が必要です。



理由1:同時タスクが多い

火を見ながら、

洗い物をしながら、

子どもの会話を聞きながら、

連絡を返しながら。



同時処理が増えるほど、

人は疲れやすくなります。



理由2:姿勢が固定される

シンク前で前傾姿勢、

コンロ前で腕を上げる。
体の負担は、

心の余裕を奪います。



理由3:背後に不安が生まれやすい

背中が壁でない、

動線が背後を通る、

落ち着かない。



この「背後不安」は、

無意識の警戒を生みます。



だからこそ、

キッチン空間の設計は
「広さ」や「収納量」

だけでは足りない。



人がどんな気持ちで立つかまで、

設計する必要があります。



建築家の提案が暮らしに効く理由

「空間は、人を育てる」

建築家の仕事は、

単に形を整えること

ではありません。



暮らしの「癖」を読み解き、

環境として再編集することです。



たとえば、

同じ家族でも、

家が変わると行動が

変わることがあります。



・片づけられなかった人が、

自然に整うようになる

・子どもがリビングで

勉強するようになる

・夫婦の会話が増える

・来客が増え間関係が豊かになる

・休日に料理を楽しめるようになる



これは精神論ではありません。
人は環境に適応して

生きる生き物だからです。



建築家が設計で扱う

「心理スイッチ」の一部。



・視線の抜け:

閉塞感が減ると焦りが減る

・光の質:

眩しさが減ると緊張がほどける

・陰影:

陰影があると空間は静かになる

・素材感:

触感が心を落ち着かせる

・音環境:

反響が減ると会話が柔らかくなる

・動線:

ぶつからないと怒らなくなる

・収納の位置:

戻しやすいと散らからない



こうした「心理のスイッチ」は、

住まい手の努力だけでは

操作できません。



だからこそ、

空間設計で

整える価値があるのです。



和モダンの思想が

LDKとキッチンに向いている理由



自律神経が休まる設計・・・・・。



和モダンの空間が落ち着くのは、

趣味嗜好

だけではありません。



環境心理学的に見ても、

休息を促す要素が多い。

和モダンを思考した結果として

・色数が少ない(情報量が減る)

・低い家具(視線が落ち着く)

・自然素材(安心感が生まれる)

・間接照明(緊張がほどける)

・余白(脳が休める)

・内外の連続(閉塞感が減る)



環境が整う住まいほど、

実は「引き算」が効きます。



何でも入れられるからこそ、

入れない選択ができる。



その「選ばない設計」が、

暮らしの質を決めます。



「整う家」は努力を要求しない

最後に、

大切なことを書きます。



暮らしが整わないとき、

人は自分を責めます。

「片づけられない」
「料理が続かない」
「家事がしんどい」
「家族に優しくできない」

でも環境心理学の視点で見れば、
整わない原因は

意志だけではなく「環境」

であることが多い。



だからこそ、整う空間設計が効く、
暮らしのコーディネートが効く

ということ。



整う家は、

住まい手に過度な努力を

要求しません。



自然に、静かに、行動が整っていく。



住まいの中心から、

暮らしを整える設計へ・・・・・。



一般的には

LDKとキッチンは、
家族の人生の中心にあります。



だからこそ、

家全体の間取りを考える前に、
どんな感情で暮らすのか?

を整える。



その言葉を一緒に探し、
丁寧に光・陰影・素材・動線

収納・居場所として
空間に落とし込むように。



もし今、
「なぜか落ち着かない」
「理想はあるのに言葉にできない」
そんな違和感があるなら、
それは「設計の入口」かもしれません。



やまぐち建築設計室は、
暮らしの環境から、

住まいを整える提案を

丁寧に考えています。



このブログが、
皆さんの

住まいと暮らしを見直す
小さなきっかけになれば幸いです。



○関連blog
料理が苦手でも大丈夫。 頑張らなくていいキッチンの環境が、暮らしと家族関係を穏やかにする理由。

https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail679.html

‐‐----------------------------------------
■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
  建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/

住まいの設計、デザインのご相談は
ホームページのお問合わせから
気軽にご連絡ください
------------‐-----------------------------
著者:やまぐち建築設計室(建築家・設計事務所/奈良県)
貴方にぴったりの建築家をご案内 建築家紹介窓口はこちら