暮らしの質は「意識」ではなく環境が決めている — 無意識をラクにする住空間

やまぐち建築設計室

著者:やまぐち建築設計室(建築家・設計事務所/奈良県)
2026-02-01更新
暮らしの質は「意識」ではなく環境が決めている — 無意識をラクにする住空間
理想の暮らしは描けているのに、

なぜ決断できないのか?

条件では測れない「心地よさ」の正体



条件は、ほぼ揃っている。

理想も、現実的な制約も、理解している。



それでも、心が追いつかない。

この感覚を抱えたまま、

先に進めずにいる方は、

決して少なくありません。



それは迷いではなく、

暮らしを軽く扱いたくないという

意思なのかもしれません。



条件が整っても、心が落ち着かない理由

人は「正しい住まい」よりも

「合う住まい」を探しているということ。



「正解」に近いはずなのに、

なぜか安心できない。

その違和感には、きちんと理由があります。



人は理屈で住まいを選んでいるようで、

実際にはとても感覚的な生き物です。



どこで落ち着くのか。

どこにいると緊張するのか。

どんな光だと安心するのか。

どんな距離感だと、疲れずにいられるのか。



こうした感覚は、

頭で考える前に、身体が先に反応しています。



住まいは「背景」ではなく、

日々の感情や行動を、静かに方向づける存在です。



暮らしの質は、意識よりも「環境」に左右されている

― 無意識に負担がかからない空間とは ―



疲れている理由が、自分でも分からない。

それは、環境が発している

小さなサインかもしれません。



人の行動や感情は、

意志や性格以上に、

置かれている環境の影響を受けています。



使いやすさよりも、

無意識に負担が少ないこと。



頑張らなくても、

自然にそう振る舞えてしまうこと。



それが整っている空間では、

人は初めて深くリラックスできます。



「悪くはない家」が

生まれてしまう本当の理由

設計の前に扱われなかったもの・・・・・。



暮らし始めてから違和感が残る。



それは、

設計や施工の問題とは限りません。



多くの場合、

その人自身の感覚や価値観が、

設計の初期段階で

十分に扱われていない

ことが原因です。



・どんな時間を大切にしているのか

・家で、どんな気分で過ごしたいのか

・1人の時間と、家族の時間のバランス

・見せたい場所と、隠したい場所



これらが整理されないまま、

間取りや仕様だけが

先に決まっていくと、

違和感は少しずつ、

確実に積み重なっていきます。



設計とは、形をつくることではない

暮らしと感情の「順序」を整える仕事



間取りは、暮らしの結果であって、

出発点ではありません。



やまぐち建築設計室では、

設計を「形をつくる仕事」だとは

考えていません。



設計とは、暮らしの流れと、

心の状態を整える行為です。



朝起きてから、家を出るまでの動き。

帰宅してから、

気持ちが切り替わるまでの時間。

何もしていない時間を、どう過ごすか。



その積み重ねが、

生活の質を静かに決めていきます。



なぜ、すぐに間取りを描かないのか?

設計の前に、言葉にすべきこと。



やまぐち建築設計室では、

その場で即座に

プランを描くことはほとんどありません。



今の暮らしで、何に疲れているのか。

どんな場面で、心が休まっているのか。

何が増えると嬉しくて、何が減ると楽になるのか。



これらは、

住まい手ご自身も、

まだ言葉にできていないことが

多い部分です。



この整理を飛ばしてしまうと、

どんなに完成度の高い設計でも、

「自分の暮らしと完全には

重ならない家」になってしまいます。



住まいは、人の行動を静かに変えていく

性格を変えずに、暮らしが整う理由・・・。



片付く家は、

几帳面な人の家とは限りません。



落ち着く家は、

住む人が特別穏やかだからでもありません。



そう振る舞いやすい環境が、

最初から用意されているだけです。



だから設計は、

性格を変えるためのものではなく、

その人らしさが、

無理なく表れる環境を整えること。



私は、そう考えています。



自分たちは、

どんな時間を大切にしたいのか。

どんな状態で、家に帰りたいのか。



やまぐち建築設計室は、

「こういう家を建てています」と

声高に語る設計事務所ではありません。



その代わり、

暮らしの違和感を、

一緒に言葉にする時間を

大切にしています。



すぐに結論を出す必要はありません。

間取りを描かなくても構いません。



「少し整理してみたい」

「考えを言葉にしてみたい」



そう感じたタイミングが、

住まいの相談にとって、

ちょうど良い時期なのだと思います。



住まいを整えることは、

暮らしを整え、

生き方を整えることでもあります。



そのプロセスに、

静かに、

誠実に寄り添えるように。



今回のブログが、

何かひとつ、

暮らしを見つめ直す

きっかけになれば嬉しいです。



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奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
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