日本の住宅の断熱性能は世界と比べて劣っているから高断熱の家を建てた方が良い、日本は湿度が高いので断熱性能が高いと腐ったりカビが生えやすい、と正反対のことが書かれていますが、どちらが正しいと思いますか。
どちらも正しい部分もあれば、誤解もあるかと思います。
以下、私の見解をお伝えいたしますので、少しでも参考にしていただければ幸いです。
■ 日本の住宅の断熱性能は低いか
海外先進国、特にヨーロッパの国々と比較すると、日本の住宅の断熱性能は低いと言えるでしょう。
様々な要因があるかと思いますが、木造住宅が中心であること、地震大国であることから、火事や地震への対策が優先されたり、数10年単位で建て替えるスクラップアンドビルドの建築事情であることも大きいかと思います。
■ 高断熱はカビが生えやすいのか
カビは高い湿度と暖かい温度で発生しやすくなるため、「断熱性が高い=快適な室温を維持する」という意味では、カビが生えやすい条件かと思います。
ただ、高気密高断熱住宅は換気システムも備わっており、十分な換気と湿度コントロールができていればカビの発生は抑えられるかと思います。
一方で、高い性能を求めるほど、建築コストが膨らむことにも注意が必要です。
複雑なシステム(換気システムや太陽光利用など)は、メンテナンスコストもかかりますし、特定のハウスメーカーさんや設備メーカーさんの独自技術ですと、他社さんではメンテナンスができず、メンテナンスやリフォーム時に他社さんと比較ができないというリスクもあります。
また、エリアによっても求める住宅性能は変わってきます。
北海道では寒さ対策が必要ですが、沖縄では寒さへの対策はほとんど必要なく、暑さや湿度への対策、台風への対策が必要になります。
これらはあくまでも一般論ですが、その家に暮らす人の考え方、ご希望が大切ですので、建築時には予算とご希望のバランス、長期的な暮らしを考え、慎重に検討を進めてください。