都市部で2階リビングの注文住宅を検討しています。採光や眺望は取りやすいと思うのですが、階段の上り下りが増える点が気になります。将来的にバリアフリーにしやすい設計にするには、どんな工夫が考えられますか?
2階リビングは、都市部のように周囲が近接する環境でも光と風を取り込みやすく、とても合理的な選択です。ただ、そのメリットの裏側で「階段移動が増える」という点が、バリアフリー将来の暮らしにどう影響するかは、計画段階でできるだけ織り込んでおくのが安心です。たとえば階段は、段差を少し低めにして勾配をゆるやかにしておく、手すりを両側に付けられるよう下地をあらかじめ入れておく、踊り場を1カ所設けて転倒リスクを減らす、といった工夫が効きます。階段幅を広めに確保できれば、将来的な家庭用昇降機の設置も現実的になります。
また、生活機能を上下どちらにも「分散」させておく発想も大切です。すべてを2階に集約するとどうしても移動量が増えるので、1階にもトイレや洗面、簡易的な寝室として使える部屋を用意しておくと、体調や年齢に応じて生活スタイルを切り替えやすくなります。構造的に余裕がある場合は、エレベーターを後から追加できる「縦シャフト予定スペース」を収納として確保しておくケースも多く、これなら若い時期は収納として活用し、必要になったらバリアフリー設備に転用できます。
2階リビングは暮らしの質を大きく高めてくれる反面、長い目で見ると可変性のデザインが不可欠です。採光や眺望といった魅力をそのままに、年齢に応じて“使い方を変えられる家”を織り込んでおくことで、将来まで心地よく住み続けられる住まいに近づきます。
エリアやご希望に合わせ、バリアフリーに強い建築家・設計事務所のご案内もできますので、よろしければお気軽にお問い合わせください。