都内で築30〜40年のマンションを購入してフルリノベーションしようと考えているのですが、管理組合のルールや上下階の住戸の構造によって、どこまで自由に間取りを変えられるのかが心配です。特に、今の標準的な暮らし方に合わせてリビングを広くしたり、ワークスペースを作ったりしたいのですが、古いマンションの場合、間取りや断熱性能をどこまで上げられるものなのでしょうか。
古いマンションのフルリノベは、空間を大きく刷新できる一方で、構造や管理規約による制約が予想以上に大きいケースもあります。まず間取り変更についてですが、築30〜40年のマンションだと「ラーメン構造(柱と梁で支える)」か「壁式構造(壁で支える)」かで自由度が大きく変わります。ラーメン構造なら室内のほとんどの壁が撤去可能で、リビングを広くする、部屋数を減らすなど比較的柔軟に対応できます。逆に壁式構造の場合、抜けない壁が多く、間取り変更の自由度はやや低めです。また、管理組合の規約では「水まわりの移動(特にキッチン・トイレの排水位置)」に厳しい制限があることが多く、共用配管から遠ざけるほど勾配が取れず、移動量に限界が出ます。
一方、性能面では断熱と窓周りが課題になりやすい年代です。室内側から断熱材を追加したり、内窓を設置することで体感温度は大きく改善できますが、外壁の断熱を抜本的に強化することは専有部では原則難しいため、新築並みの性能にするのは現実的ではありません。ただし、二重サッシや断熱材の充填、床の断熱補強などの工事で改善できる余地も十分あります。
また、古いマンションでは「床の遮音規定」も要注意です。管理規約でフローリングの使用が制限されていたり、L-45相当以上の遮音性能を求められるケースもあります。ワークスペースの確保などは造作でいくらでも工夫できますが、床仕上げや躯体に影響する工事は必ず事前に管理組合へ確認してから進めるのがおすすめです。
まとめますと、築30〜40年でも「間取り変更の自由度はそれなりに高いが、水まわり移動と構造壁の制限は避けられない」「断熱性能は内側からの強化で一定レベルまで向上できる」というイメージです。購入前に、建築家・設計事務所やリフォーム会社に建物を確認してもらうと良いでしょう。