千葉県市原市の住宅街に立つ3人家族のための平屋です。プライバシーは確保しながらも、近隣に対してほどよい距離感を保てるコートハウスを計画しました。東西に長い敷地を生かした中庭、西庭、東庭の3つの庭から成っており、軒先で切り取られた中庭の空だけが見える居間を中心に、西側の落ち着いた雰囲気の街区へはオープンにする一方で、通過交通の多い東側へは水回りや収納を配してクローズにしました。中庭まわりの回遊性、浴室-洗面所-家事室-WIC-寝室へ動線、収納を充実させたプランニングとシンプルな大屋根が特徴的です。
大屋根は等間隔で並んだ登り梁、それを受ける桁(居間は重ね透かし梁)及びそれを支える四隅の五寸角柱によって支えられています。架構は全てスギの製材。中庭を通して室内へ導かれる光を軒先で制御し、この地域特有の東西の強い風を取込めるように配慮しました。一般的に中庭型にして開口部を増やすことは外皮性能を下げる要因と言われますが、実際は外皮計算の結果以上に快適に暮らせるのでは、と考えています。
中庭から台所や居間を眺める。中庭の開口にはハニカムスクリーン、飾り棚の上下にはエアコンやFF式ガスファンストーブが納められている。
引戸を介して居間と緩くつながる読書コーナー(左)と西の間(右)。重ね透かし梁によって6mの大スパンが実現している。