福岡 / 2016
「時の流れを受け止める」
株式会社七葉は「抹茶」という切り口から、「新しい日本のカタチ」を世界に発信している会社である。
良質の抹茶を、抹茶ラテなど現代的にアレンジしたメニューで提供している。
そして、その店内に求められる空間は「和風」ではなく「現代の茶室」である。
それは、オーナーの言葉を借りれば”日本に昔からある茶文化を現代的な解釈で楽しめる店”をつくりたいという思いの表れである。
天正15年(1587)、利休は豊臣秀吉の嶋津氏征伐に従軍し、6月14日には筥崎宮の灯籠堂で茶会を開いている。
利休は茶会に際して、灯籠を寄進しているが、通常であればそこにあるはずの名前と年号が刻まれておらず、その当時ですら、237年前に作られた骨董品を寄進したと言われている。
ここに、利休独自の詫茶の簡素な精神が表れている。
そこで、改装案件である今回のnana’s green tea福岡パルコ店では既存の壁や家具など極力そのまま利用し、その周りには、古材やエイジング塗料を施し、「時の流れを受け止めるデザイン」を提案した。