「独楽庵」
株式会社七葉は「抹茶」という切り口から、「新しい日本のカタチ」を世界に発信している会社である。
良質の抹茶を、抹茶ラテなど現代的にアレンジしたメニューで提供している。
そして、その店内に求められる空間は「和風」ではなく「現代の茶室」である。
それは、オーナーの言葉を借りれば”日本に昔からある茶文化を現代的な解釈で楽しめる店”をつくりたいという思いの表れである。
松江に、茶の湯文化をもたらしたのが、松江藩主で江戸時代の代表的な大名茶人である松平不昧公である。
不昧公は利休の侘茶の原点に帰ることを論じ、1803年、自身の隠居所として11棟の茶室を含めた邸宅を建てた。
その中で、利休好みの伝来を持つ「独楽庵」は茶室の中でも珍しい、三つの茶室が合体した複合的な茶室で、二畳という極小の間取りの独楽庵、その隣に三畳台目の苔香庵、そして苔香庵の水屋につながり、三畳台目下座床の船越席から成り、周りは露地に囲まれた構成である。
そこで、nana’s green tea シャミネ松江店では、不昧公が多くの茶会を開いたとされる「独楽庵」を再現することを試みた。
実際には、客席内に独楽庵の3つの茶室の間取りを木軸組で造り、互いの茶室を扉に見立てた枠で繋いで、不昧公好みの茶室を再現した。
私はこの試みにより、茶の湯に馴染みのない若者にお茶を知ってもらうきっかけとなることを望む。