この家は、大工職人を始めとする職人の技が冴えています。お施主さん自らが作業に加わり、現場は、お施主さんの漆喰塗りと大工職人のものづくりとで、緊張感に溢れていました。
日本の木造建築の良さを一緒に研究しました。2間半間口のウナギの寝床の敷地で、南の光を如何にして確保するかが、この家づくりのポイントでした。路地庭は僅かな南の光を取り込む知恵です。2階からは十分な光が入ります。天窓も有効でした。東の庭もリビングを明るくします。
前庭にもこだわりました。古敷石を用いて、ヤマボウシの株立ちを植えました。住んでからも手を加える半完成の家づくりです。
外観は平成の京町家です。ベンガラを塗らずに柿渋塗りとして、爽やかなイメージを出しました。
玄関の上り框をアテの木、床板をヒノキ、階段段板をヒノキの厚さ40mmの厚板を用いています。
足元を抜く地窓があるだけで、空間の広がりを感じます。路地庭は伝統的な景をつくる手法です。
階段下の小物入れは、大工さんのサービスで付けました。
摺り上げ障子は、外部空間への広がりを作る優れた手法です。
漆喰壁は全てお施主さんが塗りました。ゴロンボがリビングを広くしています。 和室との間の建具は、古建具です。
落ち着いて作業ができるキッチンスペースです。
斜めの垂木を見せた廊下は、お施主さんのたっての希望です。
テーブルはケヤキの一枚板で、デザインはイケヤの家具を参考にしました。
ロフトは子供に大人気です。小屋梁が空間を締めています。