「歪みと泪」
株式会社七葉は「抹茶」という切り口から、「新しい日本のカタチ」を世界に発信している会社である。
良質の抹茶を、抹茶ラテなど現代的にアレンジしたメニューで提供している。
そして、その店内に求められる空間は「和風」ではなく「現代の茶室」である。
それは、オーナーの言葉を借りれば”日本に昔からある茶文化を現代的な解釈で楽しめる店”をつくりたいという思いの表れである。
熊本の武将細川忠興は千利休の弟子で、教えに忠実な真っ直ぐな人物であったと言われている。
そんな忠興に利休は「真っ直ぐばかりではなく時には歪んでみなさい」という意を込め、歪んだ茶杓「ゆがみ」を遺した。
また忠興と正反対で歪んだ事に挑戦し続ける古田織部には「基本を忘れるな」という意を込め、真っ直ぐな茶杓「泪」を遺した。
忠興・織部の性格を照らし合わせ、それぞれ教えを遺そうとしたものと考えられる。
そこでnana’s green tea 熊本店では忠興にちなみ、歪んだ茶杓を表現した空間を作る。
実際には、木本来の形を最大限利用した「歪んだ茶杓」を表現するために杉の銘木をそのまま利用し、それが空間を構成する要素の全てとした。