飲食店が並ぶ歓楽街のテナントに入る日本酒バー。
店舗はビジュアルによって経営が左右されるため、コンセプトにもなる日本酒のイメージを丁寧に作り上げることから始めた。
稲穂から精米された純白で磨きのある米。
木桶での仕込み。
杜氏による熟練された繊細な技能と経験。
酒器に注がれる透き通った日本酒。
伝統文化でもある日本酒作りから想像された言葉達をブレインストーミングし、言語から空間へと再構築した。
ファサードはその純白さと柔らかさを併せ持つカマクラに見立て、なるべく外と内の境界を曖昧にする透明ガラス一枚を通して談笑している風景が伝わるように仕掛けた。
楕円に包まれた壁・天井がそのまま内部に一枚一枚の層となって重なり、木の温かみや視覚的奥ゆかしさと熟練した技能を重ね合わせた。
素材選びでもモルタルや針葉樹合板など普遍の材料を用いることで主役の日本酒がにごりなく溶け込むような空間に仕上げた。
こうしたメタファーで作られた小さな空間ではあるが客人がその組み込まれた内部で、酒と時に呑まれながら無意識にゆだね、この場を楽しんでもらえればと心から思う。
店内1 客席、カウンター席
店内2
店内3
店内4
店内5 カウンター席
店内6
店内7
エントランス、製作の木玄関ドア
レストルーム