狭小地というと、間口の狭い細長の敷地を思い浮かべるのではないだろうか。
大阪市内の密集地であれば、そういった細長の敷地が多く、家同士の間は人が入れないほど詰まっています。
しかし、大阪市内は小さい敷地でも建蔽率、容積率が緩い設定となっており、比較的敷地に目いっぱい建てることができます。
兵庫県西宮市夙川エリアは、建蔽率40パーセント、容積率100パーセントとう地域で、高さ制限もあり、実は大阪市内より法規が厳しく計画が難しいことになります。
また今回の敷地は、隣地境界から1メートル離して家をたてないといけない。これで旗竿の「竿」の部分では建物間口が狭くなりすぎてしまって、現実的には家を建てることが難しくなってきます。
しかし、旗竿敷地という悪条件でありながらも、この敷地で良かった点は、旗竿敷地の「旗」の部分で法規上床面積いっぱいに家を建てたときに納めることが出来る敷地形状であった点でした。
植栽が並ぶ、うねったアプローチを通り、少し敷地から入むように玄関に入ります。
玄関土間を入ると、対面は視線が外部に抜け、左右に個室が分かれています。
最上部フロアと、その一つ下のフロアがLDKです。みんな個室に行かずに居間で過ごすことが多いというクライアントの生活をお聞きし、スキップフロアはお互いの視線がぶつからずに、程よい距離感を保ちやすいので適しているかと思い計画しました。
今回はそのスキップフロア形状から、いろいろな場所で過ごしているときに、どのような景色が見えると良いかを考えながら計画していきました。
キッチンから左右の景色が眺められる。
キッチン後ろの仕事場は隣家越しから木々また、敷地の植栽が見下ろせる。
ダイニングテーブルからは山が眺められる。
ソファーからは見上げるとデッキ越しに空が抜けていく。
畳の部屋は道路側見下ろせばお庭が、振り向くと階段、デッキ部分を抜けて外部風景が広がる。
小さい家の閉塞感を解消する常套手段でもあるスキップフロア形式ですが、フロアのそれぞれの場所の景色を楽しめることを深く考えた計画になっています。