秩父の郊外の住宅街に建つこの家は、一見窓のない要塞のようにも見える。だが、敷地境界には塀を設けず、敷地と街との関係を植栽によってやわらかくつなぐことによって、威圧感のある外見にもかかわらず通りからの印象はやわらかな印象をうける。境界塀を設けない代わりに建物本体はプライバシーを確保するため、窓のない黒い外壁で囲い、その外壁の内側に中庭と外部デッキを設けた。建物内部はほとんどの床を西川材の杉で仕上げ、壁は漆喰や珪藻土を使い外見とは一転したナチュラルな印象のインテリアとした。2階リビングからはフルオープンの木製建具で広さ18畳の外部デッキと繋がる。子ども部屋は2つのロフトがある山小屋風のつくりとし、1階の寝室には夫婦それぞれの書斎スペースを設けた。ご主人の書斎スペースからは、インナーガレージに格納した愛車をいつでも眺められるようにガラス張りの開口を設けた。