事務所併用住宅のため共用の玄関から各棟にアクセスできる計画とした。
内装は床や天井を木質系、壁は塗装調でシンプルな空間構成とした。
外装は外壁をガルバリウム鋼板、屋根をフラットルーフとすることで箱型形状のシンプルな外観計画とした。
各棟の境目にできたバルコニーは中間領域となり家族内外の関係性を豊かにする。
以前は井戸端会議や世間話などの地域コミュニティがあったが、近年プライバシーを重視した閉鎖的な住まいが主流となり近隣との関わりが希薄化している。プライベートな空間を確保しながらも周囲とちょうどいい距離感でまちとつながっていけるような建築である。東広島市は酒場の町として古くから賑わい、近年では子育て世代の流入が多く、県内では人口が増加している盛んな地域である。対象地の東広島市高屋町は、かつて大がかりな分譲団地としてできた高美が丘団地を中心として、最近では周囲に高屋掘団地などの新しい分譲地のミニ開発が進んでいる。対象地は2 つの団地の結接点に位置し、既存の地域コミュニティと新規の閉鎖的なコミュニティを繋げる潤滑油の役割が期待される。
道路側にはテラスを設け、近所の方々と井戸端会議や屋外広場を使って交流ができ外部と積極的に関われるよう配慮している。プライベートな空間を確保しつつ、外部に対して緩やかにつながることで地域との交流を深めていくことができる。
屋外広場でのイベントや催しを上階のバルコニーから見ることができ、上下階でお話をしたり階層的にアクティビティが連鎖するよう配慮した。
天井高が約2.85mと高く、日中は大きなサッシにより明るく開放的な内部空間となる。
事務所兼用住宅のため共用の玄関からそれぞれアクセスできるような計画とした。事務所は木質系でまとめ、床と天井をシナ合板グリッド張りとすることで多少の緊張感を持たせた。壁はEP塗装仕上げとし、白を基調としたシンプルな内部空間とした。西側壁面には約5.5mの造作棚を十分確保し、多くの書類等を収納可能なよう配慮した。北面には約5.5mの造作机を設置し、増員にも対応可能なよう配慮した。上部には連窓を計画することで、裏山や空などの眺望を確保した。
昇降のしやすさに配慮し、段鼻のないフラットな箱型階段を計画した。
間口約1.0mの開放的な造作洗面台とした。洗面脱衣室には集成材を用いた可動式の収納棚を多く計画し、オープンな収納スペースとすることで十分に開放感を感じる計画とした。
日常時はプレイルームとして子どもの遊び場となり、非日常時は客間として使用が可能である。
LDKは屋外広場に向けて大きなサッシが開いており内外一体的な利用が可能である。