神奈川から栃木へ移住するご家族の為の家。
計画地は、標高200m程度の平坦な市街地で、積雪量、気温とも神奈川に比べて大きな差はない。
だが、海のそばの温暖な環境に暮らす建主一家にとって、移住地の寒さへの不安は大きく、とにかく暖かい家を求めていた。
そこで、ヒートポンプによる基礎蓄熱方式と第1種換気システムを採用し、少ないエネルギーで家全体が一定の暖かさに包まれる心地よさを目指した。
昼間は自然光をふんだんに取り込み、日暮れと共にシェードを下げる。
吹き抜けのあるリビングを中心に、それぞれの部屋が、引き戸を開くとひとつの大きな空間となる。
バリアフリー、家事動線、プライバシー、そして心ときめくデザイン。
温熱環境の技術的な課題をスマートに納める事は簡単ではなかったが、建主と共に向き合い辿り着いたこの家は、私にとって大きな経験となった。
Photo by 繁田諭