静かな住宅街に位置する敷地は都内の便利な場所とあって、ほどほどに住宅の立て込んだ地域でした。
窓を開け、視線や風を通して光を取り入れる為には、隣家の大きな窓と「正対」することを避け、
周囲の建物の合間をぬった位置に開口をとってゆく必要がありました。
そこで、効果的な位置に複数の窪みを設けて隣地との距離を確保し、窓の向きをコントロールしました。
その結果、朝起きてから陽が沈むまで、さまざまな方位に向けたどこかの窓から光が差し込み、風が抜ける空間が実現しました。
物を作ることは特別なことではなく日常とおっしゃていたお施主さん。
刻々と変わりゆく陽射しと壁に映る影、窓から見える樹々の変化が、創作意欲を刺激してくれることと思っています。
左側にはオリジナルの傘掛けがある。
正面のガラスの向こうには、当面はお子さんのプレイスペースとして使う予定のヌック。その先にデッキが見える。
このレンガは欧州のお城等で実際に使われていたもので、存在感ある仕上げ。
一段あがった部分を利用して作った引き出しには、お昼寝用のブランケットが収納してある。廊下の向こうにつながる部屋がアトリエ。
デッキを挟んで向こうに居間が見える。そしてさらに向こうのデッキまで見える、奥行きを感じる場所。
デッキの広さは約10㎡弱。緩やかな傾斜地の為、デッキ下の地面までは1.4m程度ある。
天井高は高いところで3.3mある。額縁に見立てた出窓は、腰掛けられる高さとしている。将来的には、アプローチからアトリエでの活動の様子が伝わることを目的としている。
将来は間仕切り家具で仕切り、ふたつに分けられるようにドアや照明、コンセント等を計画してある。
壁際のカウンターの高さは、IT企業で働くご主人推奨の90センチ。