熊本市街地に近く、県立劇場や大学の建物がみえる敷地は、どこも同じように南スペースの広さを意識した住宅
密集地の一画にあります。依頼は、1年前に購入した古家付きの土地の建て替え。7月頃、クライアントとの最初のヒヤリングは、「冬、すごく寒い」との話で最も時間を費やしました。もちろん一番の要望は、「あったかい家」にしてほしいです。ただ日本の四季から「あったかい家」は自ずと「涼しい家」も付いてきます。昨今、二酸化炭素の排出削減のための冷暖房負荷の軽減となる高断熱高気密の主導(良い悪いは別として)は、内外の境界となる膜の性能向上にあり、その熱源は化石エネルギーが主流です。
そこで今回の家は、どこまで自然エネルギー(太陽、風)を膜の内外に取り込めるのか、回帰的考えではあるが、素直に冬は「お日様の日差しが降り注ぐあったかい家」夏は「日差しを避け風が通り抜ける涼しい家」を計画しました。
住宅密集地の中の一戸に過ぎないこの家で、内から外へと自然エネルギーが広がることを期待しています。
形状は、夏の日射しを避け、冬の日射しがたっぷり室内空間全体に差し込むように、導き出しています。また近隣からプライベートを確保しています。
屋根の形状は、北側にも太陽の日射しが差し込む明るい空間を生み出しています。
冬には、大開口からあたたかい太陽の光が差し込みます。
大空間の吹き抜けにかかるブリッジの下は、妙に落ち着きます。
家事をしながら、家族をいつも意識できます。
北の方向も、屋根の形状よりすごく明るいです。また北の庭に風が抜けます。
吹抜けは熱効率が悪いと思われますが、吹き抜けの形状を調整することで弱点克服!
家事動線と回遊する動線により室内空間が、様々な多目的な活用を向上させています。
ブリッジは、1階2階の家族をつなぐ橋です。
窓たちは、冬、縮こまった毛穴をお日様の日差しで開かせ、夏、汗ばんだ肌にそよ風を触れさせみんなを心地よくしてくれます...