満開の桜が咲く、二段組大谷石擁壁の崖上に建つ家です。
通常、崖地際に建てる場合、崖下からの崖の高さの2倍程の水平距離を設けれて建てれば、崖地条例上、問題ないとされています。
この家は登記上の敷地面積には余裕あるものの、実際建てられるスペースに余裕がなく擁壁際までめいっぱい活用せざるを得なかったので、高さ計4mの二段組擁壁の崖上に建てるようになりました。
4mの高さの大谷石の擁壁の上端と、建物の基礎との重なりに注目ください。僅か30mm程度の隙間が見えます。これは建物の荷重負担を擁壁にかけないようにしているからです。
なぜならこの擁壁は堅固と思われますが、古くて底や裏込め等の詳細も不明で、建物を建てても擁壁が構造上安全であることを証明できないからです。そのため崖崩れを起こさないよう、また擁壁が崩れても建物が自立できるよう、擁壁に家の荷重も土圧もかけない構造にしています。
そのために、地盤改良で崖地条例に則った長さの鋼管杭を、基礎下全面に打って建物を安定させ、その上で基礎梁を崖上に跳ね出した基礎にしています。
桜の樹を避けつつ囲むようにベランダも配置し、花も手に取って触れられます。
食卓からもキッチンからも満開の花が目に入ってきます。居間のソファー脇の壁の向こうにはホームエレベーターも設置し、誰もが上がって来れます。
食卓に日中の陽が差すようにコーナー窓にしています。キッチンカウンターには食卓から中が見える飾り棚も設けています。
食卓脇の階段際にはPCコーナーを配しています。
デッキから居間に入りその奥に食堂を配しています。
キッチンの上には食卓と同じオリジナルの照明を設けています。開きドアの外のベランダは居間のデッキまで通じています。
寝室も南に面していて、窓の外には豊かな緑が広がっています。
納戸の予定が急遽予備室にしたいと、畳を敷くことになり和室風にすべく、105㎜の壁厚の中に簡易な床の間を設え、窓に障子を入れました。
玄関ドアを開けると車庫になり、横引きの門扉を開けてすぐ公道にでます。接道長さは4mで、隣地からも50㎝程度しか離れていません。なぜ崖上まで使わないといけなかったかがお分かりと思います。