東京都世田谷区の閑静な住宅街での新築計画。
子供も大きくなり、子育てというより、家族全員が自立しながら暮らしを楽しみたいとの要望をいただいた。また海外に住んでいたこともあり、家族共通のキーワードとして「海外」がヒアリングでフォーカスされた。
海外に住む、海外で働く、施主自身の可能性の一つとしてこのことを念頭にいれるのであれば、これからの暮らしは1日1日を丁寧に暮らし、自分のこと、家族のこと、日本のことを今以上に深く考え、楽しむ。そしてどこにいっても自己PRできるようになることが、国籍や年齢問わず良い人間関係を形成することになるのではと考えた。
そしてこのことを実現させるためには家族のコミュニケーションの「質」を向上さえることではないかと考えた。
一般的に特別なイベントをこのクライアントにとっては「日常」とする必要があると考え、
プランニングをする前に、普段の暮らしの一例として、餃子パーティーが好きな施主が海外でも話題になるかもしれない日本産ワインを楽しむイベント、「餃子+ワイン会」を提案した。こういうコンテンツを日常的に行うことが本質だと考えたため、このイベントごとが日常的に行われる暮らしに共感を頂くことからスタートした計画である。
建築計画はプライバシーを守りながら家族のコミュニケーションの質を向上させ、1日24時間を27時間にプラスされたような空気を生むことをコンセプトとしている。
「対話をする人」が主役となるのため、全体のインテリアはホワイトを基調にシンプルに納めて空間の色のばらつきによるノイズをカットした。対話をするダイニングをメインスペースと位置付けて、人に近いスケールの家具や建築要素の素材を強調させるためにテーブルを一枚板で制作し、またデザインの異なる椅子を配置してシンプルな空間に動きを付けている。空間スケールを大きくするためLDKと玄関を一体化させ、各スペースの役割を曖昧にしながら中庭を構造壁で囲うことにより、屋外を室内の延長として捉え、ひとつの部屋として家具を配置している。プライバシーを守り、インテリアノイズをカットしたこの空間での対話は、時の流れがゆるやかで時間がプラスされたように感じる。
住み始めて1ヶ月。とても快適に過ごさせて頂いております。
当初、知人からハウスメーカー3社、設計事務所2社をご紹介頂きましたが、何度打ち合わせをしても、しっくり納得いかず・・・。そんな時、たまたま石本さんの作品に出会い、一目惚れでした。しかし、問題は、我々は東京在住、計画地も東京ということで、名古屋を拠点とされるCURIOUSさんにお願いしてうまくいくのか不安でした。でもその不安を、CURIOUSさんは見事に解消して下さいました。打ち合わせは、基本東京の我々の自宅までお越し頂き、内容によってはskypeで行われました。東京の工務店ともスムーズにやり取りして下さり、その結果、距離など物ともせず、何の滞りもなく理想の家を造ってくれたのです。
石本さんの家は、家事などの日常生活を効率良くこなすことができる仕様であるばかりでなく、「居心地の良さ」、「癒し」、さらには「活力の発現」までも体感できる家だと思います。それは、きっと一級建築士でありながら、インテリアにも深く精通しておられるからではないでしょうか。色、照明、自然の光、風、個性的な家具、家の構造、これらを見事調和させ、施主の個性に合った理想の家を実現できるのが、石本さんの良さだと思います。また、犬の居場所を考えてくれたり、滑りにくい階段であったりと、石本さんの心優しさも溢れる家になりました。ありがとうございました。