住宅密集地での平屋の計画。
今は手入れがされなくなり荒廃した築山に建築を行うので、道路との高低差が大きく、今後永く住む上で使い勝手のよさや、省エネ性を始めとしたトータルでの快適性をご要望として求められました。
光や風が建物内にいきわたるように建物中心に配置した中庭「外の間」により、外の景色や光や風を室内に取り入れつつ、木板塀により外部からの視線をカットし、プライバシーを確保する間取りとしました。
「外の間」はLDKの延長の空間としても利用でき、植えられた庭木は建物内部に視覚的な安らぎをもたらせてくれます。
敷地と道路との高低差は、植栽を配置して森の中を抜けるような雰囲気のアプローチ階段により解消し、建物内部は段差のないフラットで使いやすい計画としています。
また、勝手口を将来的に玄関としても使用できるよう計画しました。
勝手口へはスロープにてアプローチすることができるため、将来的な住まい手のライフスタイルの変化にも対応することができます。
道路との高低差を活かし、道路からの視線と内部の視線との交差を防ぐことと併せて、高低差によって駐車場部分と庭部分が明確に分離されることで、プライベートな庭空間の確保が可能となりました。
道路から高いので、災害時の浸水の影響も受けにくい形状にもなっています。
玄関ホールやリビングの天井には化粧梁を設置し、ダイニングは吹抜けとしているので、視覚的な空間の変化を楽しむことができ、開放感やぬくもりも感じることができます。
化粧梁は外部の玄関ポーチにも設置しているため、内部と外部の連続性を感じることができ、より空間に広がりを与えています。
無垢の木のキッチンを設置し、床や扉にも同材の無垢材を使用することで、空間に統一感が生まれ、無垢材ならではの自然の癒しや風合いを感じることができます。
高断熱高気密住宅のため、五感で感じる快適性を実現しています。
明るさの設計については、直接的な光を軽減するため、大開口からの日射の取得をなるべく避け、ハイサイドライト等による柔らかな自然光の取入れや、間接照明の設置により、必要なところへちょうどよい照度の確保を行い、各部へ陰影が生じてメリハリのある、心地のよい空間としています。