京都市内に新設された女性のための人間ドックを
メインとするクリニック共用部の設計である。
定期的な健康診断を後回しにしがちな女性が受診したいと思える
ホテルのように居心地の良い空間にしたい。
オーナーからの依頼であった。
ロビー待合のスペースは最初の来院時受付で待機時間を過ごす場所となる。
ランダムにソファーを配置し、アートワークやディスプレイを点在させることで
空間の正面性を曖昧にし”ただ待たされる場所”ではなく
美術館内のラウンジのようにゆったりと過ごせる空間を狙った。
室内の仕上げには手漉きの和紙、研ぎ出しの床、土壁、銅板、素焼きのタイル、
どれも昔から身近にある素朴で人の手により作られた暖かみを感じれる物を選んだ。
時間と共に色褪せることなく表情を豊かにしていく素材で空間を構成することで、
各空間にある機能の境界線を優しく暈す。
それにより受診者が一人で来ていても落ち着いてその時間を過ごせる場所となり、
少しでも穏やかな気持ちで検査を受けられるであろうと考えた。
また上記同様に隣接するトイレや、診察結果の説明を受けるために
設けられた待合室なども、落ち着きと華やかで柔らかい明るさを確保している。
本施設は女性特有の病気の早期発見、治療や回復への近道になることを
目標に最新医療機器の導入、検査時間の短縮を目指している。
内装とスムーズな検査の相乗効果により通いやすく心身ともに癒やされる場所であることを目指した。