昆布の製造・販売の老舗である株式会社小倉屋山本が、創業の地である大阪の中心地、心斎橋・南船場に残された再建築不可の古民家を、食を通じた新たなコミュニティを生む商業施設へと生まれ変わらせ、同時に街と人をつなげる接点として役割を担う場をつくるプロジェクトである。
これらの2つを具現化するために過去と現在の要素が交錯する空間という概念でこの施設の構成をしている。
交通量の多い道路に接する細く長く続く石畳の路地の先は、閉鎖的な顔をした建物と入り口がある。勇気を出してドアを開けると明治・大正ロマンを感じさせるしっとりとした色気のある空間が待ち構えている。
古く痛んだ古民家を、旧来からある技法・仕上げ材を現代の感性で編集し直し、大阪らしい建築物として蘇らせる。
新たな大人の溜まり場を創造する場となり、ここで生まれるコミュニティは、街の資産になるであろう。