SKY FIELD HOUSE 『現代古民家』
(注文住宅・新築戸建)

平林繁・環境建築研究所

SKY FIELD HOUSE 『現代古民家』

丘陵地の東斜面の住宅地に建つ黒い片流れ屋根の住宅。正面はレッドシダーの竪格子で覆われる。2階の主室(居間・食堂・台所)はレッスン室と繋がり開放的な音楽ホールとなる。そこは東側のバルコニー越しに向かいの山並みまで眺望が利き、南側に隣家の視線を避けた連続する高窓を設け、空に向かって大きく開かれている。バルコニーのさらに上に1坪の花見台を設け、浮遊感を味わいながら谷戸池の桜を見下ろす。古い民家で使われていたケヤキの1枚板の蔵戸を玄関扉に利用し、また繊細な意匠を凝らした格子戸、ガラス戸、板戸を間仕切りに取り入れ、懐古的なエレメントを新しい空間に融合させている。内装は外壁面を大壁、間仕切りを真壁として扱う木造表現とした。特に2階の木造架構は黒く染色し、古い建具と馴染ませている。新旧の取り混ぜた意匠が空間に深みを与え、さらに熟成されていく。

お施主様のご希望・お悩み・課題

住まいに目新しさだけでなく、懐古的な要素も取り入れたいとの施主からのご希望があった。

ご希望・お悩み・課題への提案

アンティークショップで古建具を探しに何度か施主と訪れ、蔵戸、格子戸、板戸など気に入ったものを手に入れ、新築の現場で持ち込んだ。建具の大きさに合わせて、建物の建具枠を調整することは、大工泣かせではあった。出来上がった住まいは新築ではあったが、懐古的な要素を取り入れ、懐かしい雰囲気、心和む住宅となった。

蔵戸を利用した玄関扉

蔵戸を利用した玄関扉

玄関扉は古い民家の蔵戸を使用し、2階の主室に面した4箇所にも古い格子戸、ガラス戸、板戸を嵌め込み、懐古的な要素を取り込んでいる。 玄関ポーチには蔵戸と開き戸の2つの戸がある。玄関脇の大容量の納戸にはポーチから直接出入りできる。

2階LDK

2階LDK

外張り断熱エアーサイクル工法とし、床下から外壁体内、天井裏を空気が循環する構造となっている。基礎立ち上がり部の給気口は外気温により自動開閉し換気量を調節する。屋根裏の排気口は電動エアーオープナーにより、夏は開放して熱気を排出し、冬は閉じる。壁内換気により快適な室内環境を実現する。壁内結露もふせぎ、構造材を乾燥状態に保ち、耐久性を高めている。桧縁甲板の勾配天井の上部の平らな部分の天井裏が排気チャンバーとなっている。

西側外観

西側外観

西側道路に面した外壁にレッドシダーの竪格子を取付け、目隠しと遮熱を兼ね、ファサードの統一感を高めている。その他の外壁は耐候性を考慮し黒いガルバリウム鋼板小波板で覆う。

洗面室から浴室を見る

洗面室から浴室を見る

十和田石の浴槽、桧材を縁に回す。 壁、天井の板は桧材。 洗面室の床、壁、天井はすべて桧材。

眺めの良い台所

眺めの良い台所

モルタルのカウンタートップの造作キッチン。レンジ前はガラス窓。

ダイニングキッチン

ダイニングキッチン

2階の床はカバのパーケットフローリング、柱梁も黒く染色して、力強い印象となる。壁の珪藻土は、2階には紫色を微妙に配合している。 

SKY FIELD HOUSE 『現代古民家』(注文住宅・新築戸建)の情報

作者
平林繁・環境建築研究所
所在地
神奈川県鎌倉市
概要
木造2階建て 在来工法
建築費用
3000万円台(建築工事費)
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