敷地は伊那市の高台にあり、最初に訪れた際に、その見晴らしの良さに魅了されたことを覚えています。伊那谷のはるか遠方に日本アルプスの山々が一望でき、このロケーションを活かすことを計画の根底に据えました。
LDKは広く天井の高い一繋ぎの大空間としています。 住宅スケールとしては比較的大きな空間なので、がらんどうな感じとなりがちのところ、丸太の梁を1本挿入することで空間に変化を与えることとしています。 製材工場にてこの丸太梁を見せていただき、一目で気に入りました。丸太の向きを決めて、いざ設置してみると、とてもこの空間に必要なものであったことを実感しました。
LDKの天井羽目板は桧材を用いています。自然な木目の色合いにてきれいなグラデーションとなるよう工場まで選定に行ってきました。 無数の材料の中から、まずは大まかに色の入っているものと入っていないものを分け、次に色のあるものの中でも赤みと茶色みを分けて、さらに全体に入っているものと一部に入っているものを分けて・・・ と汗だくで作業を進めました。 最終的には現場の床に並べて順番を整理し、きれいなグラデーションとなるように張っていただきました。
スポットライトは丸太梁の側面に設置することで、照明器具が目立たないようにおさめることができました。
LDKにアクセスする2箇所のドアにはさりげなくステンドグラスを仕込んでいます。 『和モダン』ベースのデザインでも、ステンドグラスの柄や使い方によっては違和感無く、味のあるアクセントになります。 廊下へ至るドアを開けると2階への階段が現れます。 特に蹴上部分が見えてくるので、ちょっとポップな感じになるように塗り分けて遊び心を演出しています。
和室はLDKと隣接しており、直接アクセスできる位置にあります。 LDKから一転、静ひつな空間としています。
プランニングを進めていく中でLDK、和室、子供室、スタディルーム、浴室から眺望を楽しめるようレイアウトを決めていきました。 間取り全体はコの字形状となっており、凹の窪みの部分は将来、塀とデッキスペースを設置してプライベートな中庭スペースに変身する予定です。