―Spectrum 光をあやとる家― 東京郊外の実家の敷地を使って、両親を見守ることのできる距離感に〝終の棲家〟として建てられた住宅です。
建主はゼネコン設計部勤務の友人で、長年温めてきた基本プランを私達に持ち込んだことから仕事が始まりました。建主の基本プラン、実現したいコンセプトを守りつつ、木造住宅として実現可能なデザインや構造の整理、コスト調整が私達の役割でした。
両親が丹精に手を入れた庭が主屋の南側にあり、その向こうに広大な生産緑地が広がるという恵まれた立地。主屋からの眺めを最大限確保するために、この建物は主屋と約30度開いた鈍角に配置されています。
南北に走る壁を境に、主屋の庭に面する東側をパブリック、西側を寝室・浴室などのプライベートというように明快なゾーン分けをしていますが、その壁を象徴的に扱うために、こて跡の残る珪藻土の左官で仕上げました。左官壁は、壁沿いに設けたトップライトとプリズムルーバーからの光と影を刻一刻と映し出してくれます。とくに晴れた日のお昼頃には〝光のあやとり〟と呼べるような幾条もの光が壁を伝う様子が見られます。
豊かな庭に面して大きな開口とデッキがあります。
東京郊外の自宅を設計してもらいました。10年以上温めていた様々なアイディアを、時折渋い顔をしながらも、辛抱強く図面にまとめ見事に実現してくれました。
住み始めて3年以上たっても、日々新しい発見がある住んで楽しい家に仕上がり、テレワークの時代にも期せずしてマッチしています。
学生時代からの友人ですが、夫婦それぞれの得意分野を生かしながら、何事にもまじめに真摯に対応してくれる設計室です。