車庫兼倉庫から住宅へのコンバージョン。
鉄骨造の利点を活かし、2階は間仕切り壁と天井をなくし寄棟屋根でおおわれる大空間をつくり、中央に水回りや収納を納める箱を置いた。その箱によって居間と寝間が緩やかに分節される。箱の上にはロフトをつくり、空間に広がりを与え、光を導き、将来ものや人が増えたときのための余剰空間ともなっている。
箱のまわりは回遊性があり、動線に選択肢があることでさまざまな生活のシーンに対応する。
外壁の開口部は既存のままであるが、連続的に眺められることで周辺環境の微差を日常的に感じることができる。箱の開口は外壁の開口との関係を考慮し、風が抜けるような位置とした。
箱は黒板塗料で塗られることでまわりの白い壁や天井と対比的に小さく見せている。
南側だけは外壁をセットバックさせ、新たにテラスと大開口を設け、外部へのつながりを持たせている。箱の中の階段でつながる1階は既存の車庫をそのまま利用し、一部を玄関と書斎(将来子供室)とした。
限られた予算の中で箱を挿入するという汎用性のある改修の手法の提案である。