施主はある程度大きな鳥といっしょに暮らしており、マンションから住宅に住み替えるにあたって鳥にもストレスなく暮らしていけるかたちを模索されていました。
基本的に二人暮らしなので平屋を要望されており、将来的に車椅子の利用の検討もなさっていましたので、それらを取り込んだ計画としています。
マンションは温熱環境が住宅とは全く違い、周辺を隣家住居という天然の断熱材で囲われた状態となっているので、特に寒さを感じにくく冬も暖かい状態となるのですが、これに負けないよう吹きつけの断熱を施し、床下エアコンで家中温度差の少ない空間計画を心がけました。床下エアコンの吹き出し口は通常はスリット状になっているのですが、鳥の脚がはまってしまうといけないので、ステンレス網を巻いて脚の挟み込みがないよう配慮しています。また、車椅子の想定時に移動動線が楽になるよう、回遊動線を採用し(Uターンは大変ですので)、車椅子の回転が考えられる部分は必ずスペースを広めに確保して間取りをつくりました。
鳥は近くにあるもので嘴の手入れをしたりすることもあるらしく、専門の方から注意すべき材料の一覧を施主経由で分けてもらい、住宅内に用いる材料にも十分に注意して採用しました。
出来上がった家の中で定期的にリビングなどで施主と一緒にくつろぐらしく、文字通り羽を伸ばせる家となりました。