京町屋のリノベ - 京都木屋町の家 -
鴨川沿いの間口二間の京町屋のリノベーション。
ほぼ外壁、屋根、構造を残しての改修で、オーナー別荘&一棟貸しの宿としてのプロジェクト。
3軒共通の路地奥に3軒の中で唯一ファサードを持つ町屋。
玄関から一本視線の通った軸の奥には鴨川にあたる。いわゆる川床を持つ町屋。
改修前は、時代時代で何度か手が入れられ「おきや」さんだったようで小さな部屋がたくさんありました。
スケルトンに解体し構造を確認しながら、かなりの補強用の柱や梁を入れ替えました。
一番奥の川沿いの部屋は、状態が良くまた珍しい造りでしたので以前の状態を残して、新たなデザインの障子と床の畳を変えたのみとしています。
狭い町屋空間を最大限に活かすために廊下を減らし、部屋伝いに動線が展開していくプランとしています。
そして、玄関から鴨川までの「抜ける視線」、これが一番のコンセプトでした。
居間は床を落とし床暖の入った土間の上に直接仕上げをしています。 奥の小上がり的な畳の部屋の床が元々の床レベルです。 柿渋を塗った和紙を貼った壁・天井は、伝統的な和の空間でありながらモダンな雰囲気をつくり出しています。
漆喰壁の中塗りを仕上げとした壁をベースに、和紙、板貼りとアクセントを箇所々で入れています。 備えた家具は、あえてモダンなイタリア製の家具を。
玄関の格子戸にはガラスを入れず風が通るようにしています。 半坪程度の坪庭を設け、しつらえを演出しつつ、 浴室からこの坪庭を眺められるなプランとしています。
他の空間と全く異なるデザインの洗面・脱衣室。 イタリアのガラスモザイクを使った洗面台とワイドなデザインの洗面器は違和感なく、 逆に和の空間に溶け込んでいます。
浴室の小窓から玄関横に設けた半坪の坪庭を眺められます。 玄関の千本格子戸から入り込む新鮮な空気をこの浴室まで届きます。 外国人の利用も考えたこの家(今で言う民泊)には、随所に日本の伝統を感じ取れるデザインが施されています。
新しくデザインした障子の向こうは、川床そして鴨川とつづきます。 天井は、改修せず既存のままの丸みをおびた船底天井。
あえて無骨な無垢板の階段としています。
ワイドな窓の向こうに建仁寺の屋根が見えます。 改修前は天井が張られていた圧迫感のある空間でしたが、 リノベ後は天井を落とし屋根の形状および構造を見せた 開放感のある空間に変わりました。