埼玉県幸手市という、郊外の人口減少や駅前商店街が衰退しつつある地方エリアで、腕の良い職人さんを多く抱える工務店からの依頼により建売住宅の案を検討することになりました。
駅前通りに面して車の通りは多いものの、年々閑散となりつつある通りに、灯の漏れる住まいを提案し、街に活気を与えるきっかけにしたい、との思いから計画がスタートしています。
南側は2階建て住宅、北側は車通りが多く歩道部分も人が往来する環境で、落ち着いた2階をリビングとすることから検討をはじめました。
2階東側部分を全面屋外として空が望める空間とし、南側をバルコニーとすることで、1階中庭部分まで光を届けるコートハウスのかたちになっています。
道路側に面した中庭部分の壁はルーバーによる構成とし、構造材内外両面で挟みながら、格子位置をずらすことで屋内側と道路側の目線が合わない様に配慮しました。
上記の様な検討により、1階でも安定した光を届けることができ、通常利用時はどの部屋もあまりカーテンに頼らずに開放的に過ごすことができる様になっています。
街側にも緑を楽しんでもらえる様に、建物の壁面を背景とする様に道路側に植栽を配置したりすることで、通常は閉鎖的なコートハウスのイメージが、夜間は中庭のルーバーから光が漏れ、道路側に人の営みの気配が感じられる住宅になりました。