築数百年におよび老朽化した寺社建築の再生工事です。第一期として、住職の住まいである「庫裏」に檀家の方々が集まる「客殿」を併設した施設を新築しました。
内部は、玄関ホールの東側に「庫裏」、西側に「客殿」を設けて、公私を区分しています。「客殿」は、45畳の大広間と100席規模の配膳可能な厨房、男女のトイレで構成され、「庫裏」は、各10畳の作務室と寺務室を取り込んだ職住近接住宅です。「庫裏」の作務室と寺務室は、ホールとの間の襖を開くことで「客殿」の大広間と繋がり、最大約70畳の集会場にもなります。ここでは檀家の方々の要望もあって、鉄骨構造を採用し、無柱でなるべく大きな空間を実現しました。
古刹の寺社建築が地域景観や地域コミュニティーに果たした役割を考えると、再生の必要を実感させられた計画でした。
外観−1。建築のボリュームは、本堂など、他の建物との調和を考えて決めた。結果、建築規模が大きくなった分、予算と相談しながら材料と部位に優先順位をつけた。建築の威容を示す銅板屋根にはムクリをつけている。下屋はシングル葺き。新設した門柱以外の塀は、リシンの吹付けで仕上げている
外観−2。アプローチを挟んで写真左に庭園、右は車の出入りを考慮して砂利敷きとした
玄関ホール内観−1。梁で支えられた天井面は、乳白色のポリカーボネイト板。採光は屋根に設けたトップライトから取っている
玄関ホール内観−2。建築中央に位置するホールを挟んで写真左側が客殿、右側が庫裏(住職の住宅)となっている
玄関ホール内観−3。夜景。照明は原則、間接照明とした
大広間内観−1。客殿の主な機能は檀家の集会場。100人規模の集まりを想定して設計した。中央に引き込み型のパーティションがあって、半分に間仕切ることもできる
大広間内観−2。客殿の床の間。地域の集会場として講話はもとより、カラオケやイベントに対応できるサイズとなっている
大広間内観−3。客殿の主な機能は檀家の集会場。100人規模の集まりを想定して設計した