京都から兵庫県の田舎の民家に移り住み、ギャラリー＆喫茶を営むご家族からの依頼です。
敷地は周囲が田んぼに囲まれた一軒家で四季の移ろいと空の広さを感じられる場所です。
ギャラリー喫茶の駐車場と住居の間に、中間領域として設けた薪塀は、家や喫茶で使用するためのもので、
家からのほどよい距離と高さ、そして何よりその存在感で来客駐車場からのプライバシー確保とお休みの日の室内からの開放性を両立出来るちょうどいい役割を果たす。
田園風景に溶け込んだギャラリー喫茶と住まいは、完成後もオーナー自ら素敵な庭づくりや各部のメンテナンスを行い、家族生活の変化に応じて今も家の使い方をうまく変化させ続けています。
ギャラリー喫茶は現在、遠くから人が訪れる程の地域でも人気のスポットととなっている。
古材を利用したギャラリー＆喫茶の横に、家族二世帯が一緒に生活できるスローライフなローコスト住宅を考えてほしいとの要望でした。
今回はローコストに押さえる手法として、要望にもあったスローライフというキーワードをポイントに、設計や施工の一般常識にとらわれないデザインのあり方を検討しました。そこで、まず打合せを重ねながらお客様にとって余分だと思えるものは極力省き、木の軸組架構のダイナミックさと、モダンなキッチンを組み合わせるだけのシンプルかつニュートラルな箱として提案しました。次に、オーナー自らのスローライフな考え方を汲み取って、自作の家具や棚、内部の左官や外壁杉板の塗装等、オーナー自ら工事を行って頂き、ローコスト化を計りました。そして幸いにもこのようなイレギュラーな条件を快く受け入れて頂ける工務店が見つかりこの建物が出来ました。薪の塀というスローライフな生活にぴったりな塀は、現在経営されているギャラリー＆喫茶の暖炉用として造られましたが、「将来は、家の方にも暖炉を置きたい」と夢はつきません。この塀も当然ですが、オーナーの自力建設です。
ギャラリー喫茶の駐車場と住居の間に、中間領域として設けた薪塀は、オーナー自ら作り上げたもので、 実際に家や喫茶で薪ストーブの燃料として使われる。 この薪塀が、家からのほどよい距離と高さ、そして何よりその存在感があることで、来客駐車場からのプライバシー確保とお休みの日の室内からの開放性を両立出来るちょうどいい役割を果たす。 一方にこだわりすぎると一方の役割を損ねてしまうような場合、この中間でどう生活の中で工夫してほどよい答えを見いだせるかは、住まい手の暮らしに対してのバランス感覚とゆとり幅、遊び感覚等、物事を楽しめるセンスにゆだねられるところが大きい。
正面の木製格子の玄関は、両親用の家と物置に繋がる広い土間となっており、息子様ご夫妻の家からも室内続きで行き来出来る用になっている。
太い棟木を端から端まで通し、これを受けるしっかりとした木組みの見える平屋暮らしは、暮らしに安心感を生み、日頃の何気ない生活にどこかゆったりとした感覚や生活のリズムを整えてくれる役割があるような気がしております。生活や仕事の精神的な疲れを癒し、更に励ましてくれる住まいになれば、そんなことを密かに願っております。
小スペースのロフトは、洗濯ものの室内干しなど多用途に使用可能。 太い棟木が目の前に現れる。
息子様居住スペース 自営の喫茶の営業中は縦ブラインドでプライバシーコントロール。 休日は、開放して大きく外部を取り込める大きな開口部を設けている。 30ｍｍの杉板の床は素足に優しく、冬場は薪ストーブの輻射熱を杉床がほどよく蓄え心地いい脚触りと暖かさをもたらします。
ご両親の居住スペース 京都でギャラリーを経営されてきたお母様の家具や絵画、調度品のセンスが光ります。 母屋からの引っ越しに際して、古着など思い切った断捨離を行われ、すっきりした生活を送られてます。
周囲を田んぼに囲まれた電柱の無い大空を享受できる場所で、夕焼けの美しさ、雲のダイナミックさ、雪景色、苗植え時期、収穫時期と、季節の変化を満喫できる暮らしは、自ら作り上げた庭の木々や石畳や枕木等の近景とあいまって、多くの来客者が景色に癒やされにくる程のとても豊かで贅沢な環境である。
自営の喫茶ギャラリーの10周年記念のライブ風景 イベントにお誘い頂き、楽しいひとときを堪能させて頂きました。
