―空に開き、空を愉しむ家― 都心の住宅密集地に建つ住宅です。防火地域内にあって建物を耐火構造にする必要があったことと、近くの幹線道路の騒音対策のため、RC造(鉄筋コンクリート造)を選択しました。RC造は木造より大きな空間がつくれるので、大らかな生活スタイルの建主に相応しいスケール感を出すことができました。
冬場は陽光を家の奥まで届け、夏場には強い日差しを遮るために、大きな開口と深い庇を、家の中心には中庭とルーフテラスを設けました。それらが様々な光と景色を作り出します。
RC造のメリットや建主の要望を収斂していった結果、屋根や天井が「つばさ」を広げたような形状となり、大らかなご家族に相応しいものとなりました。「つばさ」を仰ぐと周囲から覗かれる心配なく自分だけの空が見え、住宅密集地にあることを感じさせない、のびやかで明るい空間に仕立てることができました。
南北に長い敷地で、東西は隣家が迫って建っているため、家の北側半分には光が入りにくく、初めは、お施主様は建て替えではなく住み替えも視野に入れていました。「光がたくさん入る家」がいちばん大事なテーマとなりました。
大開口と深い庇、吹抜に設けた高窓、ルーフテラスとそれに面した階段や中庭等、光を取り込むアイデアを組み合わせて整理していきました。その結果、様々な光と景色を愉しめる家になっています。
さらに、子育てしながらの共働きで忙しいご夫妻のため、家事の負担を減らす動線や水廻りの配置、収納計画などの提案もしました。
大らかな印象の外観は、家の中深くまで光を取り込むための大きな開口と深い庇が作り出したもの。都心の住宅密集地にあるので、空から採光を意識した結果、屋根はつばさを広げたような形になっています。
リビング、ダイニング・キッチン、ワークスペースと、空間が斜めにずれながら繋がっています。それにより、場所ごとの区切りと落ち着きが感じられます。それぞれの場所の広さは程よいものになっていますが、視線が遠くまで通ることで、実際の広さ以上の開放感が生まれます。
リビングからの光、隣の中庭からの光、さらには階段ごしに2階のルーフテラスからの光と、3方向からの採光があります。家の中心にありながら自然光に恵まれたダイニングになっています。
家族みんなで使うワークスペース。家の北側に位置しますが、横に設けた中庭から自然光が入ります。
階段を上ると、ルーフテラスの景色が広がります。 階段はルーフテラスからの光を階下のダイニングに落とす役割を担っています。
子供室は、全開放できる引戸で廊下と仕切られていて、引戸を開ければ廊下・ルーフテラスとつながる開放的な空間になります。
左側奥の部屋は「離れ」となっている書斎。ルーフテラスを通って行きます。 書斎にはリビングの吹抜に面した引戸があり、そこから顔を出せばリビングにいる家族とコミュニケーションがとれます。
夏至・冬至の太陽光の角度を踏まえて、断面計画をしています。 吹抜となっているリビングの大開口には、冬は光を家の奥まで届け、夏は日射を遮る深さの庇を設けています。 2階のルーフテラスは、子供室への採光だけではなく、リビングやダイニングにも光を落としています。
私達が最初にいった言葉、「私達の希望の家は、風通しがよくて、空気が綺麗で、陽の光が沢山差し込む家、アクティブな子ども達の笑顔が溢れている家、出掛けたくなくなってしまうような居心地のよい家です。」これだけ聞いたら、それって具体的にはどんな家?って思ってしまうのが普通だと思うのですが、白崎さん達は、「OK!そういう家ね!」ってまず言って下さって本当に話しやすかったです。
私達の好み、生活スタイル、家族の歴史など丁寧に丁寧にヒアリングし、少し先の未来から人生設計を一緒に考えながら、私達のこれからの生活を形にしていく、設計に落とし込んでいく。お二人の聞く力、設計力はすごいと思いました。
白崎さん達お二人だからこそ織りなせる絶妙のバランス感覚、デザイン性と機能性を持ち合わせた家、女性目線の動線や収納等もがっつり工夫されていて、それでいて遊び心があり繊細でしなやかな主張を感じることのできるすっきりした家に仕上がりました。コストや素材にまで細やかなご配慮をありがとうございます。最初のワクワク感が形になり、希望通りの住み心地のよい家となっています。