4世代9人+1匹が住まう2世帯住宅です。
敷地は南と西の2方が道路に面した角地で、南側道路を介した向かいには道路に沿って緑道がつづきます。
敷地の北東側には隣接する神社の大きな御神木もあり、郊外の住宅地のなかでも環境的に恵まれた敷地といえます。
恵まれた周囲の緑をいかに風景として取り込むか、前面道路からの視線をいかに防ぐか、高齢者や子供に優しい室内温度環境をいかに実現するかが大きなテーマとなりました。
多くの案を経た結果、南側の建物高さを北側よりも低く抑え、その屋根の一部を天然芝で屋上緑化した小さな屋上庭園とする案に至りました。
これにより、北側に配置した2階ダイニングキッチンなどからも屋上庭園越しに緑道の樹々を眺めることができ、本来ならば難しい北側の室への通風や採光も可能となります。
周囲の景観を最大限に取り込みつつ、前面道路からの視線を適度に排除した窓配置の工夫により、南の窓からは緑道の樹々や前庭に植えたシンボルツリーの緑が、東の窓からは御神木の緑が、随所に樹々の緑を感じられるミドリノイエです。
・完全分離型の二世帯住宅としてほしい。(玄関のみ共有可)
・親世帯には高齢者も含まれるため、暖かい家にしてほしい。
・子供がアレルギーなので、できる限り自然素材を使ってほしい。
・2階でも外の空気を感じたい。
各世帯間のプライバシーを確保するため、子世帯(5人)と親世帯(4人)で玄関のみを共有し、高齢者を含む親世帯を1階に、子世帯を2階に振り分けることから計画をスタートしました。玄関扉こそ共有ですが、各世帯が占有する玄関ホールを各階に個別に設けています。
高齢者の生活に配慮し、空調は屋根裏や床下空間を活用した全館空調とし、年中安定した温度環境を実現するほか、冬季には床暖房と同様の効果を発揮します。
内装材には、漆喰壁や炭入モルタル、無垢の木材など、自然素材を多用しました。
2階でも外の空気を感じられるよう、LDKがおさまる北棟と寝室と子供室がおさまる南棟の中間にウッドデッキ敷のライトコートを挿入し、そのライトコートから南棟の屋根面に設けた屋上庭園にハシゴで登るような屋外空間を提案しました。