伊勢 河崎の家
設計:一級建築士事務所こより
用途:専用住宅
敷地:三重県伊勢市河崎
クライアント:角仙合同株式会社
施工:株式会社堀崎組
和紙:ハタノワタル
家具:秋友家具製作室
左官:奥野左官
照明計画:ModuleX
協働:アトリエソルト
撮影:臼井淳一
三重県伊勢市河崎、江戸時代からの町並みが今も残された地域に
伊勢では誰もが知る老舗雑貨問屋の本宅 修繕・改修工事である。
今回対象となる母屋の建造は昭和4年(1929)で、
切妻入りの外観も細部にわたり河崎の特長がよく表れている建物である。
依頼主は幼児2人を含むファミリー。
歴史ある既存の建物の構成を尊重し後世に残していける形にした上で
幼い子ども達の子育てにストレスのないよう、
現代の生活様式に沿った中身に建物を更新することが求められた。
建物の外観はこのエリアの象徴的な建物なので可能な限り形を変えず、
かつ再利用をしながら補修する計画とした。
また、今までほとんど使用されていなかった和室・客室についても
可能な限り維持するよう家主からの依頼があり
左官など痛みが激しかったものや過去に不用意に行われた改変を
本来あるべき形に戻してやることとした。
そしてそれらを挟む形にダイニングキッチン・寝室・水回りを配置している。
リビングと和室・客間は障子で緩やかにつながり
1つの空間となるよう計画している。
そうすることにより人の出入りが偏ることなく
建物全体が均一に利用されるようにした。
各空間を仕上げた意匠材は伝統工法や時間の経過で表情が変わるものとし、
徐々に新旧が馴染んでいくこととなる。
この建築が経た約90年、そして街並みに敬意を払いながらも
現代的な生活像を織り込むことで、子ども達の成長と共に未来へと
自然な形で繋いでいけるよう想いを込めた。