初代の曽祖父が約120年前に創業した和菓子店「辻山久養堂」。
美しい郷土銘菓「源氏巻」を生み出し、祖父、叔父、従妹へと受け継がれ、長く地域に愛されてきました。
その想いを受け継ぐ曾孫である五代目オーナーは、伝統を大切にしながらも、新しい時代の和菓子店として地域に開かれた刺激的なShopSpaceをつくりたいと考えました。
私たちは、その想いをかたちにするため、建物の一部改装を担当しました。
計画では、建物に残る歴史的な要素を丁寧に残しながら、新しい空間として再生することを目指しました。
デザインの出発点となったのは、この店の象徴でもある「源氏巻」です。自然素材のやわらかな色合いと、オーナーがこのお菓子について情熱的に語る姿から、多くのインスピレーションを得ました。
店舗のロゴである「十」の文字は、十字に交わる道、すなわち「交差点」を意味しています。
人と人が自然に交わり、交流が生まれる場所であってほしいという願いが込められています。
かつて乙訓の地で多くの人々に親しまれていた辻山久養堂。その精神は場所を変えても受け継がれています。
この新しいShopSpaceで、再びたくさんの出会いが生まれることを、オーナーとご家族は楽しみにしています。
かつての辻山久養堂のように。
・ご実家の一部を改装し、和菓子店として活用したい
・出入り口にある段差を解消し、入りやすい店舗にしたい
・来店者のための車を停められるスペースを確保したい
・高齢の方が多い地域のため、誰でも利用しやすいバリアフリーの店舗にしたい
既存の建物は住宅として使われていたため、出入り口に段差がありました。敷地条件や既存建物の構造上、段差を完全に解消することは難しかったため、無理にフラットにするのではなく、高齢の方でも上がりやすい高さのステップを設けることで、できるだけ負担の少ないアプローチとしました。
また、来店者の利便性を考え、敷地の一部を活用して車を停められるスペースを確保しています。住宅地の中でも気軽に立ち寄ることができるよう、外部空間も含めた計画としました。
さらに、建物が持つ歴史的な要素はできる限り残しながら、新しい店舗としての機能を加えることで、伝統と新しさが共存する空間を目指しました。地域に長く愛されてきた和菓子店として、世代を問わず人が集まり、交流が生まれる場所となることを目指しています。