都市生活者である施主が、リタイア後に移住をして、自給度の高い田園生活を始める為の家。
斜面段々畑の上にて敷地を囲む360°の緑の展望を楽しめる事、厳しい寒暖を最小限にする工夫、十分な太陽光発電が望まれた。
敷地にて最大限風景を享受する配置と平面とし、夏の日射を遮り屋外作業空間となる深い庇をふわりと廻し、二階、デッキ、太陽光パネル屋根の各層を緩やかにずらし重ね、段々畑にとけ込むようにした。
一階天井は傘状垂木が360°に広がり、そこに二階をもぐらせ一階の気積を抑えながら二階外壁面を減らし空調負荷を抑えている。デッキ下に廻る灌漑用ホースは夏に井戸水で一階屋根と二階外周をクールダウンする。
終の住処として、老後も住みやすい動線の家。(2Fはゲストルームのみ)
出来るだけ自給自足出来る様に、寒暖を最小限にする工夫、十分な太陽光パネルを載せること。
初めての田舎暮らしを守ってくれる、開きすぎないが、展望を楽しめる家。
グレーの塗装をした杉板の外壁と白の屋根が、 段々畑に溶け込んだ、層が重なったような表情を生んでいます。 西に伸びた庇が、一番熱い夏の午後に、大きな影で外作業の涼みの場をつくります。
各層がふわりと重なった外観が、石垣の上に乗ったボリュームに軽やかさを与えています。 上の屋根は太陽光パネルが最大効率となる角度で、 デッキの下には井戸水が染み出すホースがぐるりと回っていて、屋根を伝って室内を冷却し、実際に2-3度の冷却効果があります。
360度の景色に意識が繋がるような垂木をぐるりと回しています。 ダイニングの周辺は2階のボリュームが少し下がってきて、 居心地の良い居場所となり、相対的に高くなるそのほかの天井に抜け間を出しています。
玄関から室内を見ると、360度の垂木と、その下の白い帯のような幕板、流線の棚板が空間の流れをつくりだし室内に誘われます。
少し下がった天井が心地よい家族の集いの場をつくります。
寝室の一部に小さな居場所として書斎を設けます。 寝室と集いの場所は大きな引戸で必要な時に間仕切られますが、天井はガラス越しに続いていて、プライベートなスペースでもつながりと広がりを感じられます。
キッチンはマットな黒いボリュームで締め、その周りのスペースに広がりを感じさせます。 玄関は冷気が入らないよう、透過性のあるパーティションで区切られています。