横浜の雛壇状造成地にある敷地は、南の擁壁の上には住宅がそびえ、東の家屋も迫り、冬の日照が厳しい場所だった。そこで、二階に持ち上げた日当たりの良い場所を「冬のリビング」、影により涼しく過ごせる一階を「夏のリビング」として季節毎の快適性を最大化した。
「冬のリビング」ではこの場で最も効果的な南東からの光に向かって段丘状に上がる三段のフロアを配置した。これは、この段丘地で行われてきた日照への探究を範とする身振りであり、入れ子的なリフレクションである。将来のロフトも備えた広がりを持つワンルームは見晴しで家族を繋いでいる。
「夏のリビング」は二階の段丘の裏に沿って現れた切妻状の土間空間で、アウトドア好きな一家の様々なアクティビティを包むマルチスペースである。また、地域と家族とをつなぎ渡す軒下として、このコロナ禍においても風通しの良いリラックスした交流の場となるだろう。奥の個室も可動間仕切りの開け閉めによって、「夏のリビング」のつながりとして開放されたり、閉じたりと、その時々に必要なプライバシーに合わせて調整され、日陰の庭までも伸長する地域と共有する場所となる。
「冬のリビング」と「夏のリビング」は、ダクトファンによって季節毎の快適な場所のエネルギーを拝借し、熱環境を最適化している。
アウトドアが趣味のお施主様で、庭を楽しむのはもちろん、家の中や外の様々な場所が遊びや楽しみの場所になること、コロナ禍に設計が始まって増えたリモートワークの為にも多様な居場所が求められました。
また、外と中をつなげて、季節や天気に合わせてクリエイティブに使い倒せるような遊びのある家が欲しいというご希望でした。
深い庇はご近所にスペースを差し出した身振り、寄り合いやちょっとした遊びやおしゃべりの場として地域と繋がります。冬のリビングは土間の空間で、庇や庭と一緒に様々なアクティビティーを受け入れます。
夏のリビングはちいさな仕掛けで拡張して、風の抜ける快適なアウトドアリビングに。
玄関は土間で、夏のリビングとしてお庭とつなげて自由な使い方が出来ます。オープンな空間は地域の子供や家族の集いの場にもなっています。
土間の夏のリビングは拡張して外と一体化して使える、涼みの場所です。玄関という機能も拡張して、様々な用途に兼用出来ます。
寝室は子供が成長すると3つに区切れるプランで、小さい時には広く共有します。 日中は開け放し、子供たちの自由な遊びの場として土間と庭とつなげて使います。
冬のリビングはハイサイドから明るい光が導かれ、暖かい集いの場所になります。 おおらかな格子天井の下に、スタディーコーナーも用意して、後に設置されるロフトや、ソファ、和室など様々な居場所が家族をゆるやかにつなげます。
スキップフロア状の冬のリビングは、ハイサイドの光を奥まで届け、空間に変化を生んでいます。 キッチンからはより見晴らし良く家族に目を配ることが出来ます。
3段のスキップフロアが、2階をゆるやかに区切っています。 手前は少し下がった和室で、オンラインの時や、こもって遊ぶ時、来客など色々な使い方を想定しています。
見晴らしの良いスキップフロアが、家族の視線をつなぎます。