八戸市内の写真スタジオ兼住宅。夫婦のプライバシーと共存し、自然と人が集まった以前のスタジオを受継ぐ、街の集会所のような場所が必要とされていた。厳しい気候から、物理的だけはない開放性を模索した。
住宅地である周辺への配慮によって、通りに面して低く背後にせり上がる変形四角錐のボリュームが生まれた。その中にプライバシーコアを雛壇のように積み重ね、周りをオープンなスペースとしている。
山のような屋根の存在感が人を呼び込み、野太い架構に包まれたおおらかな空間が公私の相反する要素を受けとめる。
プライバシー・コアは引戸によって開閉し、公私の領域が調整出来る柔軟性によって効率的な利用を可能にしている。
住宅の多くの部分をパブリックに開け放せる構造とする事は、高齢化/縮小を迎える地方都市でより豊かな関係性の中で長く住み続ける為の大きな資本となるだろう。
相続した土地に建て替えるに際して、別々だった住処と仕事場(写真スタジオ)を一緒にしたいという事と、以前の写真スタジオのように人が気軽に集まれる場所にしたいというご希望があり、プライバシーとパブリックをどう一緒に成立するかが難しい条件でした。
その他近隣に迷惑のかからない屋根形状にしたいというご希望や、
写真スタジオとして、直接光ではない、印象的な光の取り入れが出来たらというご要望もありました。
庭は実家から受け継いだものを尊重し、住宅地の前面道路に対して低く構えています。
入り口を入ると、一体的な吹き抜けが迎えます。ホワイエとスタジオの一部は土間となっていて、仕事が終わるとダイニングになり、友人と集うとカフェやバーとして使われます。キッチンはブラインドでオンオフが出来ます。
スタジオの待合は、カフェとしても使えます。ペレットストーブが大きな空間を強力に暖めます。
写真スタジオは土間と床を用途に応じて使います。 大きな木製突出し窓が風景を美しく切り取ります。
プライバシー・コアを雛壇のように積み重ね、周りをオープンなパブリックスペースとしています。 山のような屋根の存在感が人を呼び込み、野太い架構に包まれたおおらかな空間が相反する要素を包みます。 プライバシー・コアは引戸によって開閉して、公私の領域が調整出来る柔軟性によって効率的な利用ができるようになっています。
スタジオはプレーンに、間接光を取り込む設となっています。ロフトや二階から、目線を変えた撮影も可能にと検討しました。引戸で仕切られた和室は、ゲストルームとしても、また撮影の準備室としても使用出来ます。
2階のオープンなスペースは少しプライベートな居場所として、写真の編集作業などの書斎として使ったり、家族だけののんびりスペースに使います。周りの低い壁は座るとちょうど目線が隠れる高さになっています。
プライベートリビングからスタジオを眺めます。イベントの際は、特別席にもなります。
寝室は一番奥で守られた場所に。
寝室には東向きのハイサイドライトから朝の光が入り、気持ちよく目が覚めます。