遠くに海を眺める鎌倉山の高台にて、築30年の混構造の建物をリノベーションし、造形作家のためのアトリエ付き住宅を計画した。擁壁を兼ねたRCの地階では構造の即物性を引立て、自由な創造のための効率的な配置を行なった。その上に載る木造平屋の一階は展望と広さを活かした居住スペースとプライベートなギャラリーを配した。木造平家部は瓦屋根の和小屋を支える架構の迫力を活かし、同時に断熱性・耐震性などの居住性の向上も重視した。アトリエや、大きなキッチンを備えた居住スペースは、地域の公民館のように、様々な集いの場にもなるようにと意図されている。
住居にするにはかなり広い築古の建物で、傷んでいた箇所が多く、耐震性にも不安があった。改修するエリアは限定し、終の住処とアトリエとして改修するために、エレベーターの新設を申請から行い、耐震性、断熱性などを中心に居住性を大幅に向上させる事を希望された。
地階は制作の動線を大切に気積を活かしたアトリエ空間を設け、
地上は細かく分けられていた居室をオープンにし、どこからも海への眺めが楽しめる事、出来るだけ広い生活の場・集いの場としてパブリックな使い方をする一方、プライベートゾーンは安全性を重視するゾーニングとする事とした。
アトリエ。和風仕出し屋だった既存の意匠を残しながら、シンプルなつくりとしてアトリエの作品を映えさせる事を意図しました。
地階アトリエと1階ギャラリーをつなぐ階段。階段の壁はスチール鋼板で、二次元作品のマグネットなどでの展示にも対応しています。
1階の生活空間をつなぐ廊下は既存の天井を残し、ギャラリーとしてゲストに作品を紹介するスペースとしても使われます。
居住スペースのホールは双方から使える特殊な暖炉がゲストを出迎えます。終の住処としてエレベーターを新設しています。
眼下の森と遠くに海が眺められる連続窓を設けました。春には桜雲が広がる絶景です。
キッチンは多人数での使用も可能な大きなアイランド式で、立食パーティにも活躍します。 パントリーも設け、収納もたっぷりです。 扉の向こうは一部書斎となっていて、使わない時はすっきりと収納されます。
バスルームは休息スペースと大きな窓でつながり、外の通行からは見えない腰壁の高さで仕切られています。 床はなぐり加工のフローリングで素足が心地よく感じられます。
広い洗面とトイレ空間は、終の住処としての使用も考えて設られています。
リビングは海と森への眺め、暖炉の炎、作品と過ごす特別な場所を、存在感のある梁が包んでいます。