稲作地帯として歴史のある愛知県弥富市において、米作りを中心に農業を営む企業の米粉パン店計画。健康志向やアレルギー体質の方へ向けた米粉100%のノングルテン米粉パン屋としてだけではなく、耕作放棄や後継者問題が社会的課題となっている農業において、米を中心に農業の理解を深める発信地として位置付けようと考えた。
稲わらや米ぬかによる堆肥を活用した土づくりと化学農薬の使用を低減した持続性の高い農業生産方式を採用している企業であるため、廃棄物を利用する土づくりの考えを踏襲し、工事中に発生した残土を外壁の版築仕上げに利用した。廃棄となる工事中の土を新しい仕上げとして再生させ、建築による地産地消を実現している。
稲わらや米ぬかによる堆肥を活用した土づくりと化学農薬の使用を低減した持続性の高い農業生産方式を採用している企業であるため、廃棄物を利用する土づくりの考えを踏襲し、工事中に発生した残土を外壁の版築仕上げに利用した。廃棄となる工事中の土を新しい仕上げとして再生させ、建築による地産地消を実現している。
また農作業道具にも着目し、工事の無事を祈願するための儀式である地鎮祭で使用した神具「鋤・鍬・鎌」をエントランスドアの取手などに使用した。これにより来訪者に道具を握るという行為を体験させ、農業への関心を持たせるきっかけをつくった計画である。
米粉パン屋を計画するにあたり、日本人の朝食について調査した結果、米派とパン派はほぼ半々であり、偏りが無い。このカテゴリー分けについて、小麦ではなく米粉を原材料としたパンを展開するため、米派かパン派かというカテゴリー分けを、同一原材料の商品でボーダーレスにし、食への境界線を自由に行き来できることをコンセプトにしようと考えた。 パンの販売エリアと米の販売エリアを仕上げ材で明確に分け、この境界線を人も商品も自由に行き来でき、米による商品の可能性を空間で表現した。