名古屋市中心部から30分程で行くことのできる緑豊かな丘陸地に建つ家族４人のための住宅。
敷地が北から南に向かって下っているので、家全体に自然光を取りこむことに難しさがありますが、その解決と同時に、豊かな周辺の緑との地繋ぎ感を確保する必要があると考え、計画しました。この住宅では、上下階が一対をなす構成としました。上階は、植物が光を求めて太陽の方を向くように、触手のように突き出た開口部を持つ「空洞ボリューム」であり、それとは対比的に、下階は地面に半分埋まり、残りの部分は谷側に跳ね出した「C 型のカルバート」である。これらが水平のガラススリットを介して、地面から連なる断層となることで、内部の明るさと周辺緑との地繋ぎ感を生み出しました。
上階の触手型の窓は、一つは道路側に突き出るように設けられ、高さと幅がともに3.3m もの大きさがあるので、内部では、窓辺が一つの空間となっている。一方、外部では、ファサードのほとんどをこの窓が占めることで、住宅の外観を特に小さく見せています。
そして、もう一つの触手型の窓は、屋根中央に配置され、直下にある白漆喰磨きの壁が反射板の効果をもたらすことで、直下をふんだんな光に満たされた部屋としている。また、この白い光溜まりの部屋は、植物浴のための場所であるが、他の空間に光を分配し、住み手が暮らす様々な場所で、霧立つような光を感じさせ、この家の最大の特徴になっています。
傾斜地の難しい土地で、幾つかの設計事務所でなかなか現実的な提案を頂けない中、最低限の造成でデザインもコストも両立した設計プランをご提案頂きました。おかげさまで眺望は素晴らしく、傾斜地の良さを感じられる住宅になりました。また、お人柄が素晴らしく、意見をしっかりと聞いて、納得がいくまで何度も議論して頂けたので、素人である私も一緒に作品を作っていくような気持ちになれました。今後も機会があれば是非また依頼したいと思える建築家さんです。
