二面道路の南北に長い段差のある変形敷地に計画した、ご夫婦の趣味を生かした終の棲家。
外観は高度斜線をクリアすべく傾斜屋根をかけた3つのボリュームによるシンプルモダン。内部は多様な素材を使った和モダンで、掘り炬燵タイプの囲炉裏を設けた和室と吹抜けのダイニングキッチンを中心として、スキップフロアの構成により地下1階から2階まで繋がっています。SE構法の耐震能力が間口の狭い住まいでの開放感と安全性(耐震等級3)の両立を実現し、高気密高断熱(HEAT20 G2レベル)の性能が温度のバリアを取り去り、仕切りの少ない連続した空間の快適性、省エネ性を実現するためのベースになっています。
・今まで訪れた旅館の要素を取り入れたい
・囲炉裏のある和室がほしい
・魚を捌けるシンクのあるインナーガレージ
・太陽の光を感じながら入浴したい
・ハイカロリーバーナーもあるオーダーキッチン
フェンスやバルコニーにより、人通りの多い道路からは室内が覗かれにくくなっている。道路際のフェンスは、日差しが菜園スペースに入りやすいように角度付けた人工木の縦格子。
床は十和田石貼り。上足は、一部に畳を敷いたヒノキフローリング(無節)で、壁は珪藻土塗り。来客時にちょっとした書物ができるデスクを、下足収納と一体的に造作。
焼き物の洗面器を載せたカウンターはセンの無垢板で、水かかり部は3色を混ぜたモザイクタイル貼。 木の枝を利用したタオル掛けは建て主作。
小上がりの和室は、壁に隠れた4枚の襖で閉じることができる。右側に床下空間を使って1階床面を温めるエアコンが見える。
掘りごたつ式の囲炉裏は、1500×1100の大きさ。 檜錆丸太の床柱、杉赤無垢(3面浮造り仕上げ)の落とし掛け、檜無垢板の床板、竿縁天井の黒竹は建て主の方と一緒に新木場の材木店で探したもの。壁は緑色と白色を調合した珪藻土塗り「金ゴテ引きずり仕上げ」。 縁側に面した雪見障子を開けると、菜園スペースの緑も楽しめる。
吹抜け上部のトップライトから一日中光が入る。 こだわりのキッチンはYAJIMAのオーダーキッチンで、カウンターはセラミックストーン。 2階には奥様の趣味室が見える。
正面の障子を開けると緑の景色が飛び込んでくる。ヒバの無垢フローリングの香りが心地よい眠りを誘う。
奥様の趣味室(右側)とご主人の趣味室(左側)が吹抜けを介して向き合う
床は旅館などで使われている洗えるウォッシャブル畳(きよらか/極東産機)。 浴室にはバルコニーに面した窓と室内に面した窓がある。
奥様の趣味室の室内窓からは和室の囲炉裏が見える