「各世帯がお互いの生活を尊重し、二世帯が集える住まい」をテーマとした玄関のみを共有する二世帯住宅です。
二人乗りのホームエレベーターを設けて、陽当たりの良い3階に親世帯を配置。1、2階に子世帯を計画しています。
各世帯のLDKは陽当たりがよく視界も開けた南角に配置し、この部分の天井を通常よりも高くしています。親世帯ではDKの横に小上がりの和室を設け、その下を床下収納で利用しています。子世帯ではLDKの天井を内外とも同じ板張りとすることで、連続感のある広がりを生み出しています。
2階子世帯の物干テラスは吹抜けていて、そこに面して親世帯の物干テラス、寝室、お父様の工房を設けることで、各世帯が独立した生活を営みながらも、お互いの様子が自然に伝わりあうような程よい関係を築いています。
室内は各世帯の好みを反映し、シンプルな中に木のぬくもりが感じられる仕上げとしました。
ベンチを設けシンボルツリーを植えた玄関横の小庭は、長くこの地に暮らしてこられた親世帯の近隣の方との交流スペースとなっています。
角地に建つ3階の箱が浮いた様な外観。道路斜線は天空率を利用してクリアしている。[photo:S.Osawa]
2階(子世帯)の図書スペースは物干しバルコニーに面していて、LDK側の引き戸を開けるとテラスの外まで視線が伸びる.[photo:S.Osawa]
窓側にベンチを造り付けた子世帯LDK。天井の板張りはテラスまで延びる。[photo:S.Osawa]
左はアイランドキッチンで背面の収納は引き戸で隠れている。[photo:S.Osawa]
板張り天井が内外の連続感を強める。[photo:S.Osawa]
小上がりの和室のある親世帯(3階)LDK。[photo:S.Osawa]
引き込み戸を閉めると個室になる。窓には光を和らげる障子を入れている。[photo:S.Osawa]
子世帯(2階)の物干テラスは一部吹抜けていて、親世帯(3階)の様子が伺えることで、二世帯が緩やかなつながりを持ちながら暮らすことができる。[photo:S.Osawa]
ベンチを設けシンボルツリーを植えた玄関横の小庭は、近隣の方との交流スペース。[photo:S.Osawa]
SE構法によって、木造3階建でありながら大きな開口部が実現されている。[photo:Archiplace]
「OZONE建て主インタビュー 家づくりは大変だったけど、楽しかった」より抜粋
(ご主人)最終的に建築家の石井さん・近藤さんを選びましたが、実は最初はメンバーに入っていませんでした。でも間取りを見たときに、僕たちも、親世帯も、石井さん達の案がいいと一致しました。
(お母様)前よりも、息子家族と心理的に近くなりましたね。買い物の荷物があると、エレベーターで3階の自宅まで直行しますが、2階の息子家族とは屋内階段でつながっているので、行き来しやすいです。孫が「いってきまーす」と言うと、3階の自宅から「いってらっしゃーい」と声で送り出しています。
(奥様)工事費の減額調整をするときに、建築家が「リビングの天井の板張りは、残しておいた方がいい」と言っていました。普通の天井にすれば、もっと安くなるとは思うのですが、他の箇所で減額を頑張っていただいたので、リビング天井はそのまま板張りにしました。
こうして暮らしてみると、室内の天井から、軒の方まで続く板張りがあることで、広さも感じられるので良かったなと思います。
(お父様)工事中に何度も見に来ました。先ほどのリビングの天井部分も、大工さんたちが少しずつ色味が違う木材をどんなふうに組み合わせていくか、確認しながら丁寧に仕事をしてくれました。