自宅から一時間半、東京の鉄筋コンクリートの家からまるで別の空間へ。風が通り土の匂いのする場所で大勢の友人、家族と共に集いたいという要望で始まった計画である。
一区画160~180坪、住宅を建てるには十分な広さであるが隣接した住宅地である。配置計画は周囲の状況を考慮し建物で敷地を囲み隣家が視界入ることなく山の稜線が望め尚且つプライバシーを確保できるコートハウスとした。
人を招く事を考慮し中庭を中心にプライベート棟、パブリック棟、厨房・倉庫棟を明確にゾーン分けした。来訪者は門をくぐり中庭の美濃石の路により玄関へ導かれる、その様子をどのゾーンからも見られる様にし、どの部屋に居ても来訪者にすぐに対応できるように計画した。 また、各ゾーンどうしが中庭を介して連続するという距離感は来訪者に居心地のよさを提供できるであろう。
厨房は大人数の料理を作るのに対応できる広さ、そして厨房用の食洗機等最新の設備と機能的であることを重視した。パン・ケーキ作りのために置いた大理石の調理台兼テーブルによりダイニングルームとしての機能も兼ね備えている。
今回の計画は人好きの施主と訪れた人たちが自然を楽しみ人と交わる、そんな心地よい空間を造る事を念頭に置いて設計した。四季を通じ庭の木々の間から人々の笑いさんざめく声が聞こえてくる事を切に願っている。
道路から建物を見る。道路・隣家から閉鎖的に建物を配置することにより中庭をプライベートな空間として利用できる。(コートハウス)
パブリックルームから中庭を見る。間接照明のやわらかな表情が良くわかる。中庭の向こうに山の稜線が見える。
パブリックルームを見る。南側(右側)に長さ7mの大開口を設け、デッキとの一体感を演出。照明は開口部の上に間接照明を設置し、部屋全体をやわらかな明かりで包み、中央の梁側面のスポットライトで座卓の上の照度(食事が美味しく見える明るさ)を確保している。
厨房を見る。業務用の食洗機・内炎式ガスコンロ・1mの大きなシンクを組み合わせた特注のキッチン、中央のテーブル兼作業台はパンやケーキの生地を練るため大理石の一枚板をのせてある。
寝室(1F)を見る。敷地西側の林に面して大きな開口を設け借景を取り込む、壁の柱を隠し、畳は縁無しの琉球風でシンプルな和風モダンを演出。
寝室(2F)を見る。敷地西側の林に面して大きな開口を設け借景を取り込む、向かって右側は奥から押し入れ・テレビ台・クローゼットを配置、壁を梁の高さまでとし上部に間接照明を設置。
中庭からパブリックルームを見る。デッキとパブリックルームの一体感が一目瞭然、デッキ上に野点用の傘を立て、四季を感じながら茶を楽しめる。
脱衣場から浴室を見る。浴室は広さ3帖 直径1.4mの丸い浴槽を設置。もちろんジェットとブローの機能有り、窓から林が見える。
洗面所を見る。来客が多い為、洗面所と脱衣場を分けて配置、洗面器は幅70cmの医療用のものを採用、正面の鏡は三面鏡になっており中は収納である。
門から中庭を見る。門をくぐるともみじが迎えてくれる、玄関までは美濃石の路を辿る。デッキ階段上に船舶用照明を設置。