場所は、長野県軽井沢町の別荘地内。借景として軽井沢にある離れ山を南東方向で楽しめる斜面地に建つ古い別荘の改修を行いました。 改修前は、離れ山方向に和室が存在し、開口部の高さ、幅ともに小さく、閉ざされた雰囲気であった。和室や居間、個々に存在する平面計画のため、当時の計画では、おそらく、借景を生かすというよりは、別荘の中で過ごすことを重視したと思われる。 初めてこの別荘に訪れた時に、南の採光、風の流れ、そして何よりもこの借景を室内に取り込むことがこの建物が欲しているように感じた。傾斜地のため、無理な増築は建物にも負担がかかり、工事コストも大きくなるため、既存の外郭ラインを生かしたまま、新しい居場所として、和室を外と中の要素を持つアウトリビングとして改修する方針で計画を進めることとしました。大きな引き戸を閉めた状態では、窓越しの借景を楽しみながら、室内として利用でき、ペアガラスの木製建具であるため、極寒の冬でもアウトリビングではその寒さから身を守り、雪の景色を楽しめる。 窓を開放すると風がアウトリビングの中を通り、鳥の鳴き声や風が木を揺らす音、時には雨の音が聞こえ森の香りとともに、内部にいながら外部の臨場感を体全体で感じることができる。 軽井沢の別荘で過ごす醍醐味は、都会での生活では、感じられない豊かな自然を時間の流れを忘れて、いかに五感で楽しむことかと思う。この別荘の改修では、そんな居場所をつくることを目指しました。