敷地は、新設される南側の市道と既存の北側の道路に挟まれた東西に細長い三角形の形状である。夫婦二人が住むための居住スペースと、正月などに大人数が集まったときの広いスペースを求められた。
散居村の風景が残るこの地域において、建築のボリュームと形態が突出しないように、色彩とプロポーションを抑えた建築とした。
東西に長い敷地のため居住スペースを南面させ広い開口部を設けているが、新設される道路からの視線や、騒音を考慮する必要があった。北側の垂木構造を表した勾配天井のリビング空間と寝室に南向きのハイサイドライトを設け、空へ抜ける視線と通風・採光を確保している。また積雪の多い地域のため屋根雪は敷地背面の空地に落とし、アプローチには屋根のある広い空間を設けるとともにガレージ内からも住宅に入ることができるようにしている。車いす対応のトイレを寝室に隣接させ、廊下の幅もゆったりとしてバリアフリーにも考慮している。
リビング前面の縁側から連続する玄関ポーチが取り囲む前庭は、来客など外部の気配を建物内から感じられることができる空間となっている。
南側の道路に平行して細長い建物の中央から玄関ポーチが飛び出しています。その東側(写真手前側)がリビングなどの居住スペース、西側がガレージ、寝室になっています。外壁はガルバリウム鋼板の一文字葺、正面上部と屋根は立てハゼ葺でメンテナンスフリーの材料、人が建物に接することの多い玄関ポーチ廻りはジョリパット塗の左官壁と杉野地板で柔らかい感じをだしています。正面は緩勾配の屋根とし、南側に低い軒先ラインを強調。背面は垂木構造をあらわした勾配天井の居住空間となっています。
木製建具の玄関戸と、大屋根から続く玄関庇が来客を迎え入れます。
外部の塗壁が玄関内部まで連続しています。
リビングと一体となって利用できる南向きの広縁。
リビングの高窓から通風と採光を確保。大きな開口部には格子を設けて外部からの視線を防ぎます。
障子の開け閉めで、たたみ廊下と和室を一体化できます。
太鼓張りの障子が柔らかい光を通します。
トイレの手洗いカウンター。収納を一体化しています。
建物裏側。モノトーンのガルバリウム鋼板の壁、屋根。
窓から漏れる灯りと、軒下を照らす外部照明。