敷地は、田畑が住宅街に変わりつつある、新興住宅街。
建築主は仕事をリタイアされており、子世帯家族の住まいの横に売り出された土地を購入し、 兵庫から広島の福山へ移住することを決意したと聞いています。 家族構成はシニア世代のご夫婦。大手ハウスメーカーと着工に向けて進んでいた状況でした。 だだ、建蔽率が厳しい敷地で、思い描いた平屋の住まいが、何度プランニングを試みても 難しいとの回答が続き、思い立って建築家にデザインを依頼してみたとのことでした。
一度敷地を見学してから、いろいろな検討をしていきました。
平屋で計画した場合、建蔽率の制限があるので、ハウスメーカーで計画していた2階建ての時と比べて、 各部屋の大きさは小さくなります。そこで、無駄なスペースを少なくし、 広がりを感じさせる検討を進めていきました。 最初に3 種類の方向性から提案させていただき、そのひとつを進めていくことになりました。
設計内容は、敷地いっぱいに矩形の形状を設定し、 その対角線上にLDや和室といった共有スペースを繋げて配置しました。 繋がりある空間を対角線上に十字に配置することで、視線が長く抜け、 室内外に連続感を出すことで、広がりある空間デザインを実現しています。
さらに新たに生まれたスペースを、家の中央に配置しました。 この余白スペースはリビング、和室、ダイニングを繋げながらも、 各々のスペースの延長として使え、それぞれの空間がより活用できます。 ダイニング側からは子世帯家族と一緒に大人数で食事ができるスペースとして。 和室からは、親戚や友人たちが集まったときに和室の延長のスペースとして。 リビングからは、ソファーを追加して広く使う。 その他、お孫さんが床で遊ぶ、といった活用ができ、 おおらかに生活を受け止める器としての住まいが実現しています。
庭は隣地に住まうお子さんが、時間をかけて庭づくりをしてくれるということです。 将来的には、室内から緑あふれる景色が楽しめる予定になっています。