神奈川県小田原市、小田原漁港に近い住宅地の一角に、20代の御夫婦と小さな二人のお子さんが住むための家。出来る限りご予算を抑える計画だったため、徹底的にコストを抑える工夫をしました。建物は4間(7.28m)角の総二階、費用が掛かる基礎や屋根・外壁面積が少なくなることを考えました。外壁はサイディングに塗装、屋根はガルバリウム鋼板葺きの切妻屋根とし、軒樋、縦樋が最少となることも考えます。
ですがコストを抑えることばかりに捉われ、家が単調でつまらないものになることは避けたい。そこでリビングを2階に配置し、屋根のフレームを見せることで、開放性と風や光の入り方に一工夫を施しました。一番触れる時間の長い床材にも、肌触りの良い杉の無垢板を採用しました。これは大人よりも、身体が小さく弱い子供にとって優しい家となることにも一役買っています。
照明はパナソニック製の茶筒型の壁・天井直付型の器具に、LED電球を設置した物。2階食堂と台所の上部に関しては、コード長さを特注して長い物を製作していただき、垂木から吊り下げることで、空間に遊びを施しています。
外構工事は塀やフェンスなどを設けず、最低限必要な駐車場の舗装や布団などを干す為のスペースの確保に留めました。それでも玄関前には一本の「しまとりねこ」を植え、シンボルツリーとしています。そこには御家族の成長と一緒に、育って欲しいと言う願いも込められてのこと。成長する可能性を沢山残した家は、これから御家族と一本の樹木と共に、生活に即した形で変化し続けることでしょう。