近くには大きな病院があある住宅街に建つ家族2人の住処。計画敷地周辺は、もともと緩やかな見晴らしの良い丘でしたが、設計当初は隣接する大病院の ボリューム感と前面道路が曲がり角であることから閉塞感があり、このような周辺環境の中で、緩やかな高低差のある地形を活かして遠くの風景 まで見通せるような抜けの良い住まいを作ることを目指しました。
斜面を包み込むような形で逆立ちした2つのL型の架構とその隙間が垂直のアクセス導線と眺望を望む水平スリット窓を抱える構成としました。こうして、庭と遠景と住処が直接触れ合うかのような身近かな間隔になり、スラブが延長し大きな庇となることで、内と外の空間をつなげ、庇の下に大らかな半屋外空間が生まれました。 箱型ではない逆L架構の連なりがもたらす半屋外空間は、均質な住宅が向き合う街の暮らし方にもう一つの開放さをもたらします。